2000 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスの委託代理商ジョージ・フィリップス商会の営業
Project/Area Number |
12710205
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
川分 圭子 京都府立大学, 文学部, 講師 (20259419)
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Keywords | 近代イギリス史 / 経営史 / 経済史 |
Research Abstract |
今年度は、ジョージ・フィリップス商会の委託販売事業の中核であった西インド産砂糖の取引に焦点を当てて研究を行った。従来の研究によると、この西インド産砂糖の委託販売システムは18世紀初頭には確立し、19世紀以降は他の商品にも普及する。そしてこの委託販売システムとともに手形引受業が整備され、近代的な貿易決済システムが確立するとされている。フィリップス商会史料中、砂糖の委託販売については調査はほぼ終了し、確かに同商会においては砂糖の委託販売を通して手形引受業務を行い、さらに海上保険の仲介や証券取引にも着手するようになっていたことが明らかとなった。本年度後半は、このフィリップス商会のようなタイプの事業がどの程度以前から普及していたか知ることに力点をおいた。そのため、18世紀後半にロンドンの代表的西インド商会であり、1803年以降フィリップス商会と合併したボディントン商会について調査することとした。ポディントン商会自体は営業史料を残していないので、この調査はボディントン商会の主要な取引先であったブリストル商人兼西インド・プランターのピニー商会の営業史料によって行った。この調査の結果、ボディントン商会の場合18世紀後半には1800年代のフィリップス商会とほぼ同型の砂糖委託販売業を行っていたことが、確認された。さらに、それだけでなく海上保険仲介・手形引受・証券取引業務もすでに開始されていたことが明らかになりつつある。すなわち、フィリップス商会の1800年代の事業内容は、ほぼ18世紀後半のポディントン商会のそれの踏襲であった。
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Research Products
(1 results)