2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12710276
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
西山 國雄 茨城大学, 人文学部, 助教授 (70302320)
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Keywords | 能格性 / 他動性 / 形態論 / 統語論 / オーストロネシア諸語 / エスキモー諸語 / ブギ語 / アマゾン諸語 |
Research Abstract |
能格言語の格のシステムについては、多くの研究が発表されてきたが、これらの中では、他動性の形態素は、文全体の他動性を単に反映するものと看過されてきた。そこで本研究では、他動性の形態素が能格言語の格システムの中でどの様な役割を果たすかということに注目し、他動性形態素が、格を直接ライセンスする、という仮説から出発した。初年度の研究計画の2つの柱は、能格言語の研究と、北米での資料収集、討論であり、対象言語としては、エスキモー諸語、アマゾン諸語、そしてオーストロネシア諸語(特にブギ語)等を取り上げた。具体的方法としては、記述文法書を購入、研究し、それらの言語での能格性の見識を深めた。北米での研究旅行では、複数の大学で同じ分野の研究者と会い、情報交換や討論を行った。また日本では手に入りにくい本や資料の購入、閲覧、コピーなどをした。また、未分析のブギ語のデータの再検討を行い、北米の研究者と議論を深めた。今年度当初ではさほど重要ではないと思われたが、現段階で、来年度の研究を行いにあたって重要と思われる視点は、他動性を一般的な項の増減の過程の1つと捉えることである。つまり、自他交替を語るには、語彙的使役形の他にも、形態的使役形、迂言的使役形も考慮にいれ、かつ、能格言語での反受け身の機能を、対格言語と能格言語での一般受け身と絡めて、議論をしていく必要がある。
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