Research Abstract |
2000年6月から7月にかけて,オーストラリア,メルボルン大学,言語学科のLombok-Sumbawa research projectを訪問し,共同研究を行なった。具体的には,近隣の言語の研究者との情報交換,および,メルボルン在住のスンパワ語話者の協力を得て,言語調査を行なった。 2000年8月以降は,これまでの調査の結果を文法書の形に集約する作業を行い,その成果を,博士学位論文「スンパワ語の文法の概略」の形にまとめた。(東京大学,3月に人文社会系研究科に提出,現在審査待ち)この研究では,音声面,形態論,および,統語論について記述を行った。研究の中心は統語論で,単文の構造(述部の構造,および,述部と共起する補語(名詞句,前置詞句)の構造と機能)ばかりでなく,動詞連続や複文などの機能についても,ある程度明らかにした。さらに,形式面ばかりでなく,数種類ある否定辞の意味の比較や,「強調」など談話的機能を果たす談話辞の意味の記述など,意味的,談話的内容も扱った。 2000年3月以降は,テキストなどの言語資料公開作業に研究の中心を移している。具体的には,研究者および一般の人々にとって有益な情報を提供することを目的とし,物語などのテキストに訳注および関連のある写真などを付けてホームページ上で公開する作業である。(成果は三月末に,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所のホームページで公開予定。)
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