2000 Fiscal Year Annual Research Report
集合財産担保における目的物の処分に対する担保権者の対抗手段とその限界に関する研究
Project/Area Number |
12720025
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
池田 雅則 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (20261266)
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Keywords | 集合財産担保 / 集合動産讓渡担保 / 抵当権 |
Research Abstract |
本研究の目的は、包括的な担保手段において債務者が目的物の利用および処分をすることが必然であるにもかかわらず、それによって担保権者の利益が害される場合に、どのように担保権者を救済するのか、あるいは、どこまで担保権者は債務者の目的物の利用・処分を受忍しなければならないのかに関する具体的な基準を検討しようとするものである。そのため今年度は、第一にドイツにおける担保目的物の利用および処分に対する担保権者の対抗手段とその限界に関して、集合動産讓渡担保と抵当権を取り上げ、いずれにおいても問題となる「通常の経営の範囲」という基準がいかにして成立し、また、どのように用いられているのかを裁判例および学説、さらにはBGBの起草過程や集合動産讓渡担保に関する立法提案に際しての議論などを検討する予定であった。また、第二にドイツにおける破産手続外での債権者取消権の行使の要件についてどのような要素が考慮されていろかを裁判例および学説を通して検討することも予定していた、さらに、第三にこれらの検討を踏まえて,ドイツにおいて担保権の危殆化が生じた際に担保権者がいかなる行動がとりうるかについて、制度横断的に整理・検討することとしていた。 これらの課題については、各種文献および判例などを收集・整理・検討しているが、いまだ問題状況の整理にとどまっている。もっとも、今年度の文献および判例の整理および検討を通じて、やはり、債務者の経営の自由と担保権者の担保把握の利益との調整が焦点となっていることは明らかであった。さらに、債務者の目的物利用および処分による担保権の危殆化についての議論が担保権に基づく妨害排除請求の可否に関する議論の裏返しであることから、この点からの検討が有効であることも確認できた。そこで、来年度は、今年度のドイツに関する各課題の検討を継続し、当初の予定である日本の詐害行為取消権に関する議論を整理するとともに、ドイツにおける担保権に基づく妨害排除請求権行使の要件について検討を加えることとしたい。そのうえで、債務者による目的物の利用および処分と担保権者の対抗手段に関する具体的基準の総合的検討を行なうこととしたい。
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