2001 Fiscal Year Annual Research Report
途上国における住民参加型植林事業の経済分析-ネパールとインドネシアの比較研究-
Project/Area Number |
12730025
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橘 永久 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (70301017)
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Keywords | 森林資源 / アグロフォレストリー / インドネシア / ネパール |
Research Abstract |
本研究は、地域住民による植林活動を促進する社会林業システムの探求を目的としてスタートした。昨年度の予備調査の結果、インドネシアでは独立小農民によるゴム林の植え替え時期の決定要因、ネパールでは貧困層を対象とするLeasehold林の経営効率性を、具体的な調査項目として設定した。インドネシアの研究テーマは社会林業と関連のないように見えるが、植え替えの際に伐採する古いゴムの木の流通に、農民組織・林政当局が深く関与している。インドネシアの調査地は、Sumatera Selaten県、Musi Banyuasin地区Langkap村である。一方ネパールでは、Chitwan県内のDahakhani、Korak、Shaktikhorの3村落を調査地とした。本年度は、インドネシアで2回、ネパールで1回の現地調査を実施した。 インドネシアの調査地においては、農地利用・ゴム林の植え替えの頻度を明らかにするため、Langkap村内の2つのsub-villageで簡単な全数調査を実施した。調査家計は168軒、ゴム農地は429筆に達した。予想以上に植え替えが実施されていたが、自らは植え替えることができず、古い木ごとゴム農園を売却してしまうケースもかなりの頻度で見られた。2002年1月の調査では、ゴムの植え替えの費用・便益を明らかにするため、植えてから30年以上の古いゴム林の所有者と、過去3年内に植え替えを実施した農民に関して聞き取り調査を実施した。質問票に基づく調査は、現地共同研究者が実施中である。 ネパールにおいては、構成員の特徴を明らかにするため、50のLeasehold林利用者グループに関して簡単な調査を行った。その結果に基づき、各グループから民族・カーストに基づいて75人をサンプルした。この75人に関して、Leasehold林への植林活動とそこから得た所得に関する家計調査を、現地協力者が実施中である。 ネパールの現地調査は、左翼ゲリラ活動のため著しく困難となっており、期間内に終えることが困難な状況となってしまった。
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