2000 Fiscal Year Annual Research Report
日韓における地方政府の中央政府への依存と経済発展との関係について
Project/Area Number |
12730062
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
鞠 重鎬 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (50282934)
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Keywords | 地方財政 / 政府間財政移転 / 経済発展 / 地方税 / 税外収入 |
Research Abstract |
まず、本研究では、韓国の地方財政と経済発展との関係についてまとめた。韓国の場合、1)中央政府からの財政移転が年末に近い時点で行われているため、多額の繰越金が存在し、それが地方歳入と歳出の間に大きなギャップをもたらしていること、2)1)で指摘した繰越金がこの税外収入に含まれているので、統計上では税外収入の地方歳入の45%も占めているが、実際には利子収入や財産収入などの本来の税外収入の割合は20%も至らないこと、3)地方税の場合、国税対地方税が8対2の割合で、地方税の税収が少ないことに加え、地方税の税率と税目についても地方政府ではなく中央政府がそれを定めていること、4)地方債の発行について中央政府の許可が必要であり、地方債による事業の損失について中央政府や一般会計から補填が行われていること、5)韓国では、地方財政と地方教育財政が分離されて運営されており、地方教育財政の場合、中央政府からの依存が非常に高いこと、などが明らかになった。 次に、以上の特徴から政府間財政移転の役割が欠かせない変数となり、財政移転の経済効果を調べる必要がある。結果によると、政府間財政移転は、モラル・ハザードの問題を抱え込みながら、地域の経済平等化だけではなく、資本支出を通じて地域の経済発展にも重要な役割を果たしている。 最後に、韓国の地方財政を主な対象にしたのは、2000年1月の「アジア地域における分権化と経済発展」と、2001年2月の「アジア地域における政府間移転の経済効果」について、国際シンポが行われ、筆者が韓国を担当したからである。
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[Publications] Kook,Joong-Ho: "Decentralization and Economic Development in Korea"Decentralization and Economic Development in Asian Countries (Proceedings of International Symposium). 109-144 (2000)
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[Publications] Kook,Joong-Ho: "Intergovernmental Fiscal Relationship and Transfers in Korea"Hitotsubashi Journal of Economics. Vol.41. 139-153 (2000)