2000 Fiscal Year Annual Research Report
米国の会計規制過程における諸主体の行動に関する実証的研究
Project/Area Number |
12730092
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大石 桂一 佐賀大学, 経済学部, 助教授 (10284605)
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Keywords | 会計規制 / 会計政策 / ロビイング / デュー・プロセス / 規制の経済学 |
Research Abstract |
本年度はまず、これまでに行ってきた「規制の経済学」に基づく米国の会計規制に関する研究の成果を著書にまとめ、『アメリカ会計規制論』として出版した。その中で、米国の会計規制過程に参加する諸主体(経営者、監査人、財務諸表利用者、基準設定者、および規制主体)の行動原理をある程度明らかにすることができたと考えている。 また、現在、会計基準の国際的調和が叫ばれる中で、国際会計基準委員会をはじめ、会計基準自体を生み出す会計基準設定プロセスの国際的調和も進行しているという事態に着目し、その典型的メカニズムとして、米国における会計規制過程をデュー・プロセスという観点から分析した。結論としては、現在進行している会計基準設定プロセスの「国際的調和」は、事実上、アメリカナイゼーションであり、「妥協の正当化」という米国が抱えるのと同じジレンマが世界的に共有されるおそれがあることを明らかにした。その一部は論文(「デュー・プロセスに関する考察」)として公表されている。 さらに、会計基準設定機構の変革が検討されている日本において、米国の会計規制メカニズムは選択可能な「代替的制度」の1つであるが、そのメリット/デメリットを含め、改めて「制度」としての意義を問い直す必要があると考え、現在は、日本における会計制度改革との関連で研究を進めている。その成果は、2001年7月に神戸大学で開催される国際シンポジウム(神戸フォーラム)で報告する予定である。
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Research Products
(2 results)