2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740026
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
角皆 宏 上智大学, 理工学部, 助手 (20267412)
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Keywords | 整数論 / ガロア表現 / 基本群 / 配置空間 / リー環 / 安定導分環 / 多重ゼータ値 / デッサン・ダンファン |
Research Abstract |
代数多様体の基本群に付随する外Galois表現について、特にGalois表現の像をより精密に捉えることを中心に研究した。申請時には、次のように研究内容を大きく三つに分けて掲げた。 1.曲線に付随するGalois表現の次数Lie環化について、高次の配置空間や異なる種数の曲線の場合との表現の比較を通じた考察 2.3点抜き射影直線の場合のGalois表現の次数Lie環化に於ける、非正則素数に関する或る種の合同性の観察と、その円分体の整数論との関係 3.dessin d'enfantsと呼ばれる或る種の組合せ的対象とそれに付随する被覆を用いた観察 第一点については、以前より準備中であった論文"The stable derivation algebra for higher genera"(高種数の安定導分環)について細部の修正・改良を重ね、発表の段階に近付いた。 第二点については、種数0の安定導分環に関して、計算機を用いた長時間の計算を行ない、幾つかの部分的な結果を得た。主なものは、安定導分環の13次の部分の階数の決定と、16次の部分での非正則素数p=3617に関する或る合同性についての予想の確認である。前者の計算は後者の予想の検証に必要でもあった。従来知られていたのは類似の現象が初めて起こる12次でのp=691に関する合同性のみであり、又、この次に起こると予想される18次の計算には更に千倍以上の計算量(時間・空間とも)が必要となると思われる事から、この計算例は貴重なものと考える。 第三点についてはまとまった成果は得ていないが、2000年6月に行なわれた勉強会「デッサンの会」に主な講演者の一人として参加し、位相幾何や関数論など関連分野の研究者と意見交換をした。又、最近急速に研究が進みつつある安定導分環と多重ゼータ値との関連について、2000年11月に九州大学で勉強会を行なった。これらの活動を来年度以降の研究に活かしていきたい。
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