2000 Fiscal Year Annual Research Report
種数2以上の曲面の写像類群と円周上の曲面束の不変量に関する研究
Project/Area Number |
12740035
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
北野 晃朗 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90272658)
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Keywords | 曲面束 / L2-トーション / 双曲的多様体 / 冪零商 / 降中心化列 |
Research Abstract |
今年度は、主にライデマイスタートーションの無限次元ユニタリー表現への一般化であるL2-トーションに関する研究を行った。モストフの剛性定理により、一般の双曲的多様体の体積は、基本群の表示が与えられれば計算できるはずである。本研究の主たる対象である円周上の種数一般の曲面束に対して考察すると、モノドロミーの曲面の基本群への作用が与えられれば、双曲体積は理論的には計算できるはずである。それを実際に具体的に実行する一つの手段が基本群の右正則表現に対するL2-トーションである。 しかしながら、その計算は非可換な群環係数の行列式の計算の実行を伴うもので非常に困難である。そこで、高沢氏(東京工業大)、森藤氏(東京大)と共同で、曲面の基本群の降中心化列、及び、冪零商を使って右正則表現に対するL2-トーションを近似する無限個のL2-トーションの列を構成する試みを行い、次のような部分的結果を得た。 1 1番目の近似を与えるL2-トーションに関して、モノドロミーのホモロジーへの作用に関する特性多項式を用いる具体的な積分表示を与えた。この系として、モノドロミーのホモロジーへの作用が有限位数ならば、この値は零となる事がわかった。 2 2番目の近似を与えるL2-トーションに関して、モノドロミーのホモロジーへの作用が自明である場合、すなわち、トレリー群の元の場合、トレリー群のマグナス表現を使い、1番目のものと同様の積分表示が得られた。 3 一般に円周上の曲面束のこのL2-トーションの列は写像類群のマグナス表現を近似する無限個の表現の列を使い、モノドロミーのその表現による像の非可換な特性多項式として記述される事を考察した。 4 コンピュターを使って幾つかの例について、数値計算を実行し幾何学的に興味深い現象を観察した。
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[Publications] 北野晃朗,高沢光彦,森藤孝之: "L2-torsion of 3-manifolds"数理解析研究所講究録. 1172. (2000)
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[Publications] 北野晃朗,高沢光彦,森藤孝之: "L2-torsion of a surface bundle over a circle and a hyperbolic volume"数理解析研究所講究録. (掲載予定).