2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740069
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安田 公美 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (40284484)
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Keywords | マルコフ過程 / 跡公式 / p進体 / 特殊線型群 |
Research Abstract |
p進体上の上半平面H_pはp進係数特殊線型群SL(2,Q_p)の作用に関する等質空間となるが,この作用に関して不変な距離と測度を求めた.また,SL(2,Q_p)の非可換離散部分群Γが与えられたとき,これに対応する上半平面内の基本領域Fは十分小さい半径の球の高々可算個の非交和として構成できることを示した.また,Γの各元γの中心化群Γ_γの代数的構造を求め,さらにΓ_γに対応する基本領域は,Γ_γ\Γの代表元によるFの像の和集合として得られる一方,実部が球の可算和,虚部が円環領域である直積集合のSL(2,Q_p)のある元P_γによる像としても得られることを示した.これらの結果を用いて,上半平面を離散部分群Γで割った空間上の自乗可積分な関数の空間L^2(Γ\H_p)の上の自己共役作用素Tに対し,その跡をΓの各元γの中心化群Γ_γの代数的構造から定まる数を用いて表す跡公式を示した.一方,先に求めた上半平面上の不変な距離に関し,十分小さい半径の球はより小さい半径の球の定数個の非交和であることを導き,この幾何的構造を用いて,上半平面上のマルコフ過程X_tでその推移関数が特殊線型群の作用で不変なものを,マルコフ連鎖の極限として構成した.これを,特殊線型群の離散部分群Γの作用により同一視することにより,Γ\H_p上のマルコフ過程X^^〜_tが構成される.マルコフ過程X^^〜_tの生成作用素-Aとそのスペクトルを計算し,この場合に跡公式を適用することにより,マルコフ過程の性質と離散部分群の代数的性質を関係づけることができた.
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[Publications] Kumi Yasuda: "On Infinitely Divisible Distributions on Locally Compact Abelian Groups"Journal of Theoretical Probability. 13. 635-657 (2000)
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[Publications] Kumi Yasuda: "Extension of Measures to Infinite Dimensional Spaces over p-adic Field"Osaka Journal of Mathematics. 37. 967-985 (2000)
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[Publications] Sergio Albeverio et al.: "Trace Formula for p-adics"Acta Applicandae Mathematicae. (to appear).