2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740095
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
水町 徹 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (60315827)
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Keywords | 一般化KdV方程式 / 多パルス解 / 安定性解析 |
Research Abstract |
本年度は一般化KdV方程式の解に複数のパルスが現れる場合に,個々のパルスの安定性を調べることを目標とした.方程式が完全可積分である特別な場合(KdV方程式,修正KdV方程式)には,多ソリトン解と呼ばれる安定な多パルス解の存在が知られている.私は,非可積分系の一般化KdV方程式の多パルス解の安定性を関数解析的な手法を用いて解析することを試みた. 方程式が非可積分系の場合,多パルス解の安定性を調べるには保存量の個数が不十分であるため,リヤプノフの方法を用いて多パルスの安定性を解析するのは困難である.私はPego-Weinstein(1994)のように無限次元力学系の観点から解析を試みた.無限次元力学系の観点から多パルス解の安定性を研究するには,多パルス解の周りでの線形化方程式の解の局所エネルギーの減衰評価を得ることが必要になる.1-パルス解の場合との大きな違いは線形化方程式に現れるポテンシャルが本質的に時間に依存する点である. 私は,摂動論を用いて各孤立波が十分に分離しており,時間が経っても互いに衝突しない場合を,各孤立波の相対速度が十分大きな場合と十分小さな場合を研究した. 相対速度差が非常に大きな場合には,空間1次元の非線形Schrodinger方程式を扱ったPerelman(1997)の方法に従い,線形化方程式の解の局所エネルギーの減衰評価を求めることを試みた.しかし,線形化方程式がSchrodinger方程式と違って3階の微分方程式であり固有値が連続スペクトルの中に含まれるため,解の低周波数帯の部分をうまく評価することが出来なかった.また相対速度差が小さな場合は,非常に特殊な重みつき空間に属する初期値に対しては,必要な線形化方程式の解の局所減衰評価が得られた.現在は,その評価を非線形方程式に適用することを試みている.
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Research Products
(1 results)