2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740105
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
久保 英夫 静岡大学, 工学部, 助教授 (50283346)
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Keywords | 非線型波動 / 存在定理 / 初期値問題 |
Research Abstract |
本研究の遂行にあたり、まず、初期値が無限遠方で十分速く減衰する場合に、超臨界冪を持つ非線型波動方程式に対する初期値問題の時間大域解が存在することを示すことを試みた。なお、初期値が球対称の時には、その無限遠方での減衰度に関しても、ある臨界値のあることが知られている。 この目的のために、球対称とは限らないが、各時刻においてある球の外側で恒等的に零であるようなデータに対して成り立つ非同次方程式の解の減衰評価が、一般のデータについても成り立つことを示した。さらに、一般の初期値に対する同次方程式の解に対する減衰評価を導いた。ただし、この評価を得るためには、初期値がある重み付きソボレフ空間に属することが必要となる。残念ながら、そのためには、球対称な初期値に対する結果から予想されるような臨界値よりも十分速く減衰していなければならない。この点を改良していくことが、今後の課題である。なお、上述の結果は、Piero D'Ancoa氏、Vladimir Georgiev氏との共同研究によるもである。 また、存在定理の証明のメカニズムを深く理解するために、波動方程式系に関する考察も行った。システムの場合には、一方の非線型項が劣臨界冪であっても他方の冪がそれを補い得ること、また、伝播速度の違いが解の挙動に影響を及ぼし得ることなどが分かった。この方向の考察は、太田雅人氏との共同研究によるものである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] P.DAncana,V.Georgiev,H.Kubo: "Weighted Strichartz estimates for the wave equations"C.R.Acad.Paris,Serie I. 330. 349-354 (2000)
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[Publications] H.Kubo,M.Chta: "Small data blowup for systems of semilinear wave equations with different propagation speeds in three space dimensions"J.Diff.Eq.. 163. 475-492 (2000)
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[Publications] H.Kubo,M.Ohta: "Global existence and blow-up of the classical solutions to systems of semilinear wave equations in three space dimensions "Rend.Istit.Mat.Univ.Trieste. 31・2. 145-168 (2000)