2000 Fiscal Year Annual Research Report
超対称ゲージ理論におけるインスタントン計算と非摂動量子補正効果
Project/Area Number |
12740129
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
末廣 一彦 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60211976)
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Keywords | 超対称性 / 超弦理論 / ディーブレイン / タキオン凝縮 / アノマリー媒介機構 |
Research Abstract |
今年度における研究成果のひとつは、弦理論におけるタキオン凝縮に関するものである。超弦理論における古典解として知られるディーブレインについては、ディーブレインと反ディーブレインが存在すると、タキオンモードの凝縮による総転移のため、真の真空は超開弦の存在しない超閉弦の真空状態となることが推測されている。また、ボゾニック弦においてはディーブレイン配位そのものにタキオンモードが存在し、その凝縮によりやはり開弦の存在しない閉弦の真空となることが推測されている。今年度はこの両者の場合について、弦の場の理論を用いることによりタキオンが凝縮した真空上に開弦の励起状態が存在しないことを示す研究を行った。その結果、開弦の励起状態が存在しない証明には至っていないが、励起モードの一部であるタキオン及びベクトル場が存在しないことについて状況証拠を集めることができた。 もうひとつは、アノマリー媒介機構による超対称性の破れに対する量子補正効果についての研究である。アノマリー媒介機構は、標準理論の粒子と直接相互作用しない「隠れた」セクターにおける超対称性の破れが超重力多重項における超対称性の破れを引き起こし、さらに超ワイルアノマリーの効果により超対称標準理論における超対称性の破れを実現するものである。本年度は、アノマリー媒介機構による超対称性の破れが、標準理論の相互作用が支配する「可視」セクターにおけるポテンシャルのひずみの効果として作用し、「可視」セクターでアノマリー媒介機構によるものとは異なる構造を持つ追加的な超対称性の破れが生じる可能性について調べた。その結果、標準理論のスケールより重い質量をもつ粒子を利用する模型については補正効果が無視できる大きさになることが示された。
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