2000 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーアンジュレーターによるコヒーレントX線の発生と電子ビーム冷却
Project/Area Number |
12740147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白井 敏之 京都大学, 化学研究所, 助手 (50252507)
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Keywords | 電子蓄積リング / レーザーアンジュレーター / コヒーレントX線 / 電子ビーム冷却 |
Research Abstract |
平成12年度は研究計画に沿って、主にレーザアンジュレータの設計、最適化を中心におこなってきた。レーザアンジュレータは一般に相対論的運動をする電子と、レーザとの相互作用によりコヒーレントX線を作り出すものであるが、その電子ビームの形態により、最適なレーザがあることがわかってきた。電子蓄積リングにこのレーサアンジュレータを設置する場合、その高い電子ビームの繰り返し(KSRの場合11MHz)を生かすためには、レーザと電子を正面衝突させるのがよく、最適な相互作用領域としては、長さとして、1cm程度が望ましいという結果になった。これを実現するためには、電子ビームの側には特に問題はないが、レーザには制約が生じる。本研究では、おもに2つの場合について、計算をおこなっている。1つは、商業ベースで広く出回っている、10WのCWレーザを用いる場合で、もうひとつは、ナノ眇、10kHz繰り返しのパルス化レーザである。後者では、パルス化して、レーザ増幅器を通すことにより、レーザ強度を前者より格段に高めることができるが、レーザ自体の開発要素が存在する。 発生するX線で見た場合、前者のCWレーザの場合は、100MeV、100mAの電子ビームをもちいて、毎秒10^8個以上の硬X線(100keV以上)が得られる。これを、さらにどれだけ増やせるかは、光学共振器によって蓄積レーザ電力を、どれだけ増幅できるかにかかっているので、来年度には、その検討をすすめる予定である。後者のパルスレーザの場合は、レーザと電子の相互作用がCWレーザの場合のような線形領域から、非線型領域に移行させることが可能という目処がついてきた。次のステップは、非線型領域で自由電子レーザのような増幅過程が生じさせ、それを制御できるかどうかという点にあるので、レーザ自体の実現可能性とあわせて検討を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)