2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740160
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
奥野 祥二 神奈川大学, 工学部, 助手 (90281451)
|
Keywords | SiC / 放射線検出器 / ショットキー |
Research Abstract |
炭化ケイ素(SiC)素材は化学的には同一組成でありながら、積み重なり方向の積層順序が異なるポリタイプ(polytype)と呼ばれる結晶構造がある。その種類として、3C-SiC、4H-SiC、6H-SiCの3種類があり、それぞれの結晶によってもエネルギー・バンド・ギャップが異なり、それぞれ2.2eV、3.0eV、3.3eVである。これは、シリコンのエネルギー・バンド・ギャップが1.12eVであるのに対して2、3倍である。また飽和電子速度においても、シリコンが約1×10^7cm/sであるのに対し、2〜2.7×10^7cm/sと高速であり、さらに絶縁破壊電界もシリコンが0.3MeV/cmであるのに対し、2〜3MV/cmと約10倍の強度である。以上のことにより、SiCを用いて検出器を作成できれば高性能な検出器になることを期待して、検出器の製作試験を行った。 入手したSiC基板は、2インチの高純度6H-SiCと窒素が不純物として含まれる6H-SiCである。窒素不純物が含まれるSiC基板は緑色をしているのに比べ高純度基板はほぼ透明であった。これらの2インチSiC基板を8mm角に切断したものに、洗浄処理を行い、片面にアルミニウム、他面に金を蒸着することにより検出器を構成して、試験を行った。結果として検出器の電流特性は、窒素不純物を含むものには明確なショットキー特性が得られなかったのに対し、高純度SiC基板ではAu側を正極にした時にショットキー特性の順方向の立ち上がりが見られた。この時の立ち上がり電圧はおよそ0.3Vであった。また、この高純度SiC基板での逆バイアスのときのbreakdown電圧は4V程度であった。Amよりα線を入射して応答を観測したが、逆バイアスの耐圧が低かったので十分な電圧を印加できず、信号を観察することはできなかった。今後は、ショットキー特性が得られることが確認できたのでbreakdown電圧が低かったことを改善すれば、放射線入射による信号が得られると考えられる。そのために製作工程における洗浄工程の見直しを進めていく予定である。
|