2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 研介 東京大学, 物性研究所, 助手 (10302803)
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Keywords | 量子ドット / 電子の位相 / 配置相互作用 / コヒーレンス / ファノ効果 |
Research Abstract |
本研究では,微細加工によって作り出されたナノ構造において,干渉効果や多体効果に起因する新しい現象を見出すことを目的としている。ナノ構造体としては,直径1ミクロン程度のリング(アハラノフボームリング)に量子ドットを埋め込んだものを用いている。量子ドットは典型的な0次元系であり,クーロン振動をはじめ多彩な現象が見つかっている。また,アハラノフ・ボーム(AB)効果と組み合わせることにより,ドットを通った伝導電子の位相の情報を知ることもできる。このように,「リング+ドット」系は電子の「粒子性」と「波動性」とが混在するような系である。本年度はこの系において,これまでに知られていない二つの新しい知見を得た。 (1)非局所測定による干渉効果の増大 まず,ドットがない「リング」だけで測定を行った。このリングに対して,非局所的な4端子測定を行うと,電子の干渉効果がこれまでの10倍ほどにも増大することが明らかになった。このような測定方法を適用したのは本研究が初めてであり,それによる干渉効果の増大は,これまでの理論では予言されていなかった。この現象の解明は,電子の干渉性がなぜ失われていくのか,という量子力学の基本問題に多くの示唆を与えるものと期待している。 (2)ファノ効果の発見 次に「リング+ドット」での実験を行い,ファノ効果を見出した。これはリング内の連続状態にある電子と、ドット内の離散準位にある電子との「配置間相互作用」によって生じる効果であり,数多くの物理系で知られているが,ナノ構造においては本研究が初めての観測である。しかも,この系は多くの点で制御可能であり,ファノ効果の検証実験としてはこれまでで最良のものである。 以上のように,本年度は「リング+ドット」系において新しい二つの知見が得られた。これらは二つとも今後のメゾスコピック系の物理の発展に寄与するものと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Kobayashi, et al.: "Observation of an Enhanced Aharonov-Bohm Effect"Journal of Physics and Chemistry of Solids. (印刷中).
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[Publications] K.Kobayashi, et al.: "Reduction of Quantum Decoherence in Non-Local Resistance Measurement"Microelectronic Engineering. (印刷中).
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[Publications] K.Kobayashi et al.: "Quantum Coherence and Decoherence, Proc. ISQM-Tokyo'01"Observation-Dependent Decoherence in an Allaronov-Bohm Ring(印刷中).