2000 Fiscal Year Annual Research Report
高分解二光子分光によるトラップ中の励起子の空間分布の精密測定
Project/Area Number |
12740177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中 暢子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10292830)
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Keywords | 励起子 / 二光子共鳴 / ポテンシャルトラップ / 亜酸化銅 |
Research Abstract |
高密度効果が期待される亜酸化銅の励起子に関して近年、密度の評価における拡散効果や空間分布の影響が指摘され、空間分解あるいはトラップへの閉じ込めなどの必要性が再認識されてきている。本研究では、オルソ励起子の二光子共鳴励起によって生成される低温の励起子をひずみポテンシャル中に閉じ込めその密度効果を探るための、これまでにないアプローチを試みた。 本研究ではストレスの印可と時間分解測定によって初めて、冷たいオルソ励起子から間接的に生成されるパラ励起子の発光を観測した。また、発光強度の時間変化からパラ励起子寿命を推定し、その寿命が閉じ込めに十分であることを確認するとともに、分光学的手法によりトラップ中心へのパラ励起子のドリフトを観測した。このことにより、オルソ励起子の二光子共鳴励起がトラップ中にパラ励起子を生成し、それらを限られた空間内に保持する手段として有効であることが初めて明らかになった。また、入射光強度を増して生成されるオルソ励起子の数を増加させると、トラップ中のパラ励起子数は飽和を示すことを見出した。この原因は、ポテンシャルトラップがパラ励起子に対しては比較的緩やかであるため、2体衝突によってトラップ外への損失が起きているものと現在考えている。これらの結果は、トラップ中へのより効率的な冷たいパラ励起子の生成や、そのダイナミクスを探る糸口を与えるものと期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] N.Naka et al.: "Experomental study on two-photon oscillator strength of hydrogenic yellow ekcitons in Cu2O."Solid State Common.. 116. 417-419 (2000)
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[Publications] A.Mori et al.: "Effects of Rayleigh scattering on photovoltaic spectra assocciated with is ortho excitons in Cu2O."phys.Rev.B. 63. 033202 1-4 (2001)