2000 Fiscal Year Annual Research Report
パイロクロア型酸化物の単結晶を用いたスピンアイス状態の研究
Project/Area Number |
12740192
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松平 和之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40312342)
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Keywords | パイロクロア / スピンアイス / ブロッキング / 磁気緩和 / 双極子相互作用 / 中性子散乱 |
Research Abstract |
今年度は以下の研究を行った。 1.スピンアイスを示す代表的な物質Dy_2Ti_2O_7の単結晶育成をフラックス法により行った。様々な育成条件を試み微小な単結晶試料は得られたが、精密な物性測定が行えるほどの大きな純良単結晶育成には成功していない。来年度は異なったフラックスの使用や様々な育成条件を試み純良大型単結晶を得たいと考えている。 2.スピンアイス化合物の多結晶試料について極低温での交流磁化率およびDC精密磁化測定を行った。これらの測定結果が最近接サイト程度の相関長を持ったクラスター形成によるブロッキング現象により定性的に説明されることを明らかにした。 3.スピンアイスの磁気緩和について交流磁化率から詳細に調べた。交流磁化率の周波数依存性の解析から、スピンアイス状態形成よりもより高温でスピンアイス特有の磁気緩和が現れることが明らかになった。この磁気緩和はDy系のスピンアイスで顕著にみられる。この磁気緩和はこれまでに知られているスピングラス等でみられる磁気緩和とは異なり、その機構解明が今後の1つの課題である。 4.スピンアイス状態の解明のために、多結晶試料によるHo_2Sn_2O_7の中性子散乱実験を行った。非弾性散乱の測定から結晶場状態について調べ、結晶場基底状態と第一励起状態が十分良く離れており、低温では非常に強い1軸磁気異方性を持つ事を確認した。さらに散乱強度の波数依存性からスピン間の結合は双極子相互作用が主要であることが明確に示すことが出来た。Dy_2Ti_2O_7の測定結果が来年度中に得られる予定である。
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Research Products
(1 results)