2000 Fiscal Year Annual Research Report
スピンフラストレーションをもつ正スピネル型酸化物磁性体の磁気-構造相転移
Project/Area Number |
12740220
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
籠宮 功 早稲田大学, 理工学部, 助手 (40318811)
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Keywords | スピンフラストレーション / 正スピネル / 反強磁性相転移 / 短距離磁気秩序 / 磁気Bragg反射 / 電場磁場冷却効果 / 格子変化 |
Research Abstract |
本研究の主題は、立方晶正スピネル型酸化物磁性体に存在するスピンフラストレーションの解消のメカニズムを明らかにすることである。 平成12年度は、正スピネル型酸化物の代表例であるZnCr_2O_4を主に取り上げ、以下のことを明らかにした。 1.ZnCr_2O_4粉末試料のX線回折により、反強磁性ネール温度で格子の変化が起こることを確認した。その回折パターンから低温相の結晶対称性は、斜方晶まで低下すると考えている。 ZnCr_2O_4やMgCr_2O_4の反強磁性ネール温度に現れる誘電率の異常は、フラストレーション解消に伴う格子の変化が誘電性に影響を与えたものである。 2.100Kから低温にかけて、反強磁性的な短距離磁気秩序が存在する。この温度領域には、一方で、低周波誘電分散が存在することを見出している。この誘電分散の起源を説明するために、局所的に生じる反強磁性クラスターが、格子歪みも伴うモデルを提唱した。 3.ZnCr_2O_4単結晶試料を用いた中性子回折を行い、T_N=9K以下で現れる磁気Bragg反射の電場磁場冷却効果について調べた。本年度の実験では、磁場のみの冷却効果の存在を確認した。ZnCr_2O_4の[110]方向に磁場(H>1T)をかけて冷却すると磁気反射強度は、無磁場冷却の場合に比べて、増加する。一方で、[001]方向の磁場冷却効果は、存在しない。引き続き平成13年度に他の方向の磁場冷却効果の有無をくわしく調べ、磁場冷却効果の起因について議論する予定である。 1の成果の一部は、The 8th International Conference on Ferrites(平成12年9月 Kyoto)で公表済みである。また、1、2を併せた結果について現在論文を執筆中である。3の結果の一部についても、The 1st International Symposium on Advanced Science Research(平成12年11月 Tokai,Ibaraki)で公表した。
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Research Products
(1 results)