2000 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性を示すアルカリ金属吸蔵ゼオライトにおける磁性サイト局所場の探索
Project/Area Number |
12740221
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
五十嵐 睦夫 群馬工業高等専門学校, その他部局等, 助教授 (60259819)
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Keywords | ゼオライト / LTA / カリウム / 強磁性 / ^<27>Al / ^<87>Rb / NMR / シフト |
Research Abstract |
K原子を吸着させたLTA型ゼオライトが示す強磁性の転移機構を解明するため、NMRを用いた研究を行った。当初、磁性電子が存在すると思われる^<39>K核のサイトについて、NMRにより強磁性相において直接観測することを試みたが、リンギング等実験上の理由により観測できなかった。そこで、常磁性相について結晶のフレームワークに存在する^<27>Al核についてNMRの観測を行ったところ、(1)スペクトルは、降温にともなってピークがシフトする成分とほとんどしない成分の最低2成分に分かれる、(2)シフトしない成分の線幅は磁場に対して負の依存性を示す、(3)シフトする成分の線幅は降温に伴って大きく増大する、といった特徴を示すことがわかった。このことにより、(1)試料の中には磁性電子の影響を受けにくい部分が本質的に混じるらしい、(2)その部分におけるサイトには結晶場の電場勾配が生じているらしい、(3)シフトする成分の線幅の増大は常磁性スピンによってもたらされているらしい、といったことが指摘された。 次に、アルカリ原子をRbに変えた試料を用意し、^<27>Al核および^<87>Rb核のNMRを観測した。この試料は常磁性であるものの、Kの試料の場合とほぼ同じ結晶構造を持ち、参照試料として重要である。^<27>Al核のNMRスペクトルはKの試料の場合と同様な温度依存性を示したが、(2)に相当する成分はシフトを示さなかった。このことは、Rbの試料とKの試料の場合においてスピン配置が異なることを示唆している。一方、^<87>Rb核の場合でも降温に伴って線幅は増大し、半値全幅の絶対値は^<27>Al核の場合と比べて2桁程度大きかった。また、スペクトルの重心は10数K程度まで正のシフトを示した。このことは磁性(この系の場合、常磁性)を担う電子が主にRb核上に分布していることを示している。Al核よりもRb核の方が常磁性電子により近いところに存在することが反映されていると考えられる。
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