2000 Fiscal Year Annual Research Report
楔形単結晶の電子線回折強度精密測定による電子非弾性散乱過程の定量的解析
Project/Area Number |
12740234
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西尾 弘司 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (10252545)
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Keywords | 動力学的電子回折 / 複素ポテンシャル / 温度因子 / 等厚干渉縞強度 |
Research Abstract |
本研究で測定対象とした楔形単結晶の電子顕微鏡内保持のために、専用の試料保持部を試作し、現有の試料傾斜機能付きホルダーに組み込んで測定を行った。単結晶とは別に電子顕微鏡の光学調整用薄膜を組み込めるように設計することにより、試料の電子線照射損傷を最小限に抑えた測定が可能となり、良質の測定データを得ることができた。また本補助金により導入されたイメージングプレート(IP)システム用イメージバッファーの設置および周辺ソフトウェアの整備により、IPデータのコンピュータ上での直接処理が可能となり、IPシステムによる測定・解析効率の飛躍的向上が果たされた。 このような実験環境の下で、Si楔形単結晶およびMgO微粒子を試料として電子線回折像、回折コントラスト像、高分解能像をIPを用いて定量的に測定した。測定には現有の高分解能電子顕微鏡に加え、エネルギーフィルターを備えた高分解能電子顕微鏡も用いた。エネルギーフィルターの使用により、弾性散乱電子、非弾性散乱電子を選択的に結像させることができ、非弾性散乱過程の定量的解析に欠かせない基礎データを得ることができた。この実験データに画像処理を施し、[100]Siおよび[110]MgOの定量的電子顕微鏡像強度標準データとして抽出整備を行った。それら実験データとの定量的な比較により、動力学的回折理論に基づく計算機シミュレーションの妥当性を確認し、さらに、結晶の複素ポテンシャル、Siについてはその温度因子、またMgOについてはそのイオン性について明らかにした。 また、これらの成果を学術雑誌に発表するとともに、抽出整備したデータそのものについても定量的電子顕微鏡像強度標準データとして順次インターネット上で公開しつつあり、広く国内外から参照可能としている。
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Research Products
(1 results)