2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740245
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 貴志 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60293669)
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Keywords | 電気粘性流体 / 電気粘性効果 / マクスウェル応力 / 二成分誘電性液体 / スリップ現象 |
Research Abstract |
ある種の流体に外部から電場を印加すると、その系全体としての粘度が著しく変化する現象が古くから知られている。このような物質は電気粘性流体と呼ばれており、アクティブ・タンバーなど、様々なデバイスへの応用が期待されている。本研究では、そのような応用への基礎となる「電場下での二成分電気粘性流体のレオロジー特性に関する理論とシミュレーションによる研究」を行なっている。今年度は、電場下での二成分電気粘性流体を記述する方程式解くために2次元、および3次元系のプログラムの開発と2次元系でのテスト的なシミュレーションを行った。二次元系でのシミュレーションの結果と実験の結果は定性的に非常によい一致を示し、我々が用いているモデルの妥当性が確認された。誘電性液滴が多数分散した系液滴が多数分散した系に電場とせん断を印加するというシミュレーションにより、電気粘性効果が現れるかどうかのシミュレーションを行った。電場の印加と同時に球状の液滴が縦長の楕円形状に変形し始め、それらが合体して縦長のストライプ状のドメインを形成し、最終的に電極間をブリッジすることが観測された。さらに、電場と垂直方向にせん断流動を印加すると電場方向に引き延ばされ分裂と合体を繰り返す定常状態が得られた。このシミュレーションから、電場によるドメインの引き延ばしによる界面エネルギーの増加とマクスウェル応力が粘度の上昇に大きく寄与している事が分かった。また、ある値以上の電場下では、系内部に非常にせん断の大きな領域と小さな領域が非常に明確に発生することが観測された。これは、流動方向と平行なある面でスリップ現象が起こっていることを示唆している。このスリップ現象に注目した実験は無く、今後の実験で検証される事を期待している。
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