2001 Fiscal Year Annual Research Report
古地磁気学的アプローチによる房総―三浦地域における第三紀テクトニクスの解明―伊豆島弧多重衝突説の検証―
Project/Area Number |
12740281
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
岡田 誠 茨城大学, 理学部, 助教授 (00250978)
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Keywords | 古地磁気学 / テクトニクス / 房総半島 / 三浦層群 / 中新世 |
Research Abstract |
本研究では、房総半島中部に分布する中新統三浦層群の古地磁気記録を元に、本州弧に対する伊豆島弧地塊の衝突タイミングがどのようなものであったかを解明することを試みた。 試料は天津層下部について鴨川地溝帯の北側に分布する銘川および小糸川の上流沿いで38サイト、木の根層について銘川で5サイト、神川層について銘川で3サイトから採取した。 消磁実験の結果、天津層から10サイト、神川層から1サイトにおいて一時磁化成分を抽出することができた。 今回得られた磁化方位の平均偏角およびその95%の信頼区間は、神川層(16Ma以前)では76±29度、天津層下部(11-13Ma)では中間的極性と思われる1サイトを除くと52±19度であった。また小竹・他(1995)は南房総の千倉・豊房層群(3〜0.5Ma)において約10度の古地磁気偏角の東偏を報告しており、その原因として1Ma前後に起こったとされる伊豆地塊の本州弧に対する衝突を挙げている。以上のことから、本研究地域は16〜13Maの間に時計回りに数十度の回転運動を被った後、13〜3Maの1000万年間に約40度の時計回り回転を被ったといえる。神川層はその堆積年代から考えると西南日本と同程度の日本海拡大による回転運動を被ったはずであるが、今回の結果はそれを裏付けている。また地層中のスコリア分布より、四国海盆の拡大によって伊豆島弧が現在の位置に来たのが13Maであったと推定されている(高橋,1998)ことから、伊豆島弧地塊の衝突はそれ以降始まったと考えられる。このことから、今回得られた約40度の時計回り回転は伊豆半島衝突以前の伊豆島弧地塊の衝突現象を反映したものと考えられる。
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