2001 Fiscal Year Annual Research Report
肉眼では認識できない広域火山灰の検出による大阪層群の時間軸設定
Project/Area Number |
12740287
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Research Institution | Osaka Museum of Natural History |
Principal Investigator |
石井 陽子 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸員 (90300970)
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Keywords | 大阪堆積盆 / 中・上部更新統 / 火山灰分析 / 火山灰層序 / 火山灰降灰層準 / 結晶質火山灰 |
Research Abstract |
兵庫県南部地震後に採取され,中部更新統をカバーしている浜ボーリングコア(吉川ほか,1998)を対象とし,吉川(1981)の方法によって約500試料の処理・プレパラートを行い,その傾向を把握した.50cmの間隔で採取された試料を使用したが,火山灰層準の直上の試料からは高濃度で火山ガラスが検出されるものの,さらに50cm上位の試料からは5%未満の量でしか検出されない.つまり,ごく微量の火山ガラスが検出された層準はその上下でも分析を行わなければ,正確な火山灰降灰層準(吉川,1981)を明らかにできないといえる.また,砂層中から新鮮で自形を保った角閃石が複数見いだされる層準の存在が明らかになった.前年度の研究成果を公表した石井・中条(2001)にもあるが,火山ガラスが風化によって消失,もしくは火山ガラスの少ない結晶質火山灰であっても,周辺山地にはあまり存在しないと考えられ風化にも弱いとされる斜方輝石などの存在や,周辺山地から供給されうる角閃石であっても新鮮で自形を保っているものが多産すれば,火山灰降灰層準を見いだせる可能性を示唆している.同様に,高温型石英や酸化角閃石など火山灰(火山岩)特有の拡物の多産層準についても,火山灰降灰層準を示唆するものである(石井,2002).この分析作業を通じて新たにおよそ8個の火山灰降灰層準を見いだした.現在正確な層準を押さえるために追加分析作業中である.またどの程度の量比の鉱物粒が大阪堆積盆に供給されているのか河川の砂の調査も必要であると考え,調査に着手した. 前年度に成果の多くがまとまったOD5コアについては学会発表(石井2001)し,投稿準備中である.また,石井・中条(2001)などで公表した上町台地南部の中・高位段丘相当層の成果について,調査協力いただいた大阪市道路公社の依頼で長居公園地下駐車場内に展示を作成し市民に研究成果を還元している.これまでの論文より大阪層群の火山灰層の層相・分析結果をコンパイルして,未命名のものも含めて火山灰層序の整理を試み,今年7月に行われる「精密コア対比研究会」の論文を作成中である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 石井 陽子: "大阪平野深層ボーリング,OD-5コアの火山灰層序"日本地質学会第108年学術大会講演要旨. 192 (2001)
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[Publications] 石井 陽子, 中条武司: "火山灰から地層の時代を調べる-自然史博物館地下の地質5-"Nature Study (大阪市立自然史博物館友の会). 47巻11号. 3-4 (2001)
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[Publications] 石井 陽子: "ジュニア会員のページ 深紅の角閃石-酸化角閃石-"Nature Study (大阪市立自然史博物館友の会). 48巻3号. 1-2 (2002)