2000 Fiscal Year Annual Research Report
造礁サンゴの骨格形成および同位体比記録に関する定量的モデルの一般性の検証と改良
Project/Area Number |
12740288
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 努 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50321972)
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Keywords | 造礁サンゴ / 炭素同位体 / 酸素同位体 / 骨格 / 成長線 / 喜界島 |
Research Abstract |
近年,造礁サンゴ骨格を用いて高い時間的分解能で,過去の海洋環境,とくに海水温の変化を復元した研究が多く行われている.一方,サンゴ骨格形成の動的過程によって骨格の同位体組成が変形を受ける可能性が示されている.申請者は石垣島周辺海域に生息する造礁サンゴを用いて,サンゴ骨格形成および同位体比記録を記述する包括的なモデルを構築した.しかし,このモデルの一般性の検証と改良のためには多様な海域に生息する造礁サンゴの成長線や同位体比を解析することが必要不可欠である.そこで本研究は,琉球列島の中でもサンゴ礁の分布域の北限近くに位置する喜界島周辺海域において,造礁サンゴの生育する水深30m以浅の海洋環境(水温・塩分・光量・炭酸種濃度・炭素生産量・海水の酸素同位体比・溶存無機炭素の炭素同位体比等)の詳細な観測と,サンゴ骨格の成長線・同位体比分析に基づき,サンゴ骨格の形成および同位体比記録に関する定量的モデルの一般性の検証と改良を行うことを目的とする.本年度の夏,喜界島の周囲のサンゴ礁を慨査し,島南部の荒木沖の礁斜面を調査地に選定し,冬に自記水温計と塩分・水温計を設置し,同時に採水を行った.荒木沖を選定したのは,1.同地点では陸水の影響が少なく,外洋の海洋環境を代表していると考えられること,2.白化の影響が比較的軽微で水深30m以浅に多くのサンゴが生育し,特に本研究で用いるハマサンゴ(Porites sp.)が普遍的に見出されるためである.今後,これらのセンサーを定期的にメインテナンスし,来年の夏もしくは秋にハマサンゴを採取し,分析を行う予定である.
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