2000 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧実験によるポストガーネット相転移カイネティクスの研究
Project/Area Number |
12740295
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保 友明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40312540)
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Keywords | 高温高圧実験 / 放射光 / ガーネットーペロフスカイト相転移 / 焼結ダイアモンドマルチアンビル / 相転移カイネティクス / 相転移メカニズム / 沈み込む海洋プレート / マントルダイナミクス |
Research Abstract |
ガーネットーペロフスカイト相転移のメカニズムやカイネティクスを明らかにするために、焼結ダイアモンドマルチアンビル装置を用いた高温高圧実験を行った。 1.パイロープガーネット多結晶体のポストガーネット相転移機構 パイロープ焼結多結晶体を出発物質として26.0-31.0GPa、1273-1673Kの条件でペロフスカイトとコランダムへの分解相転移実験を行った。回収した相転移途中の試料の微細組織を走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、2種類の相転移組織が観察された。一つは母相パイロープの結晶粒界から反応が進行している組織(粒界核生成-成長機構)、もう一つは母相パイロープ多結晶体を横切るように線状の反応相が何本も分布する組織である。後者では、線状に分布する反応相の幅が太く成長することによって相転移が進行していると考えられる。また比較的低温(1273-1473K)で過剰圧が大きい(4-5GPa)条件では分解相は非常に細粒になる(1ミクロン以下)ことが明らかになった。 2.天然ガーネット単結晶のポストガーネット相転移 天然のガーネット単結晶を24GPa、1473-1873Kおよび30GPa、1473Kの条件で1時間保持したが、相転移が起こらなかった。パイロープガーネット多結晶体の場合と比較し相転移のカイネティクスに大きな違いがあることが明らかになった。 3.パイロープのポストガーネット相転移カイネティクスのX線その場観察 31.0GPa1473K、30.3GPa1273K、26.0GPa1673Kにおいてパイロープガーネットのペロフスカイトとコランダムへの分解相転移カイネティクスを放射光を用いてX線その場観察した。成長速度が減少するために相転移速度が転移途中で急激に低下した。そのためポストスピネル相転移速度と比較して、ポストガーネット相転移速度は非常に遅いということが定性的に明らかになった。
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