2000 Fiscal Year Annual Research Report
アイソトポマーの測定による成層圏における一酸化二窒素の挙動解析
Project/Area Number |
12740302
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
豊田 栄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (30313357)
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Keywords | 一酸化二窒素 / アイソトポマー / 成層圏 |
Research Abstract |
一酸化二窒素(N_2O)は地球温暖化や成層圏オゾンの消長に影響を与える大気中の微量成分であるが、全地球規模での物質収支に占める各発生源、消滅過程の寄与は十分明らかになっていない。本研究は、アイソトポマー(種々の安定同位体を含む分子種)を指標として、成層圏におけるN_2Oの輸送過程および消滅過程を室内模擬実験および観測によって調べその挙動を明らかにし、対流圏のN_2Oの収支についての情報を引き出すことを目的としている。 今年度は以下の成果が得られた。 1.光分解反応における分別係数の測定 N_2Oの光分解実験を色素レーザーを用いて4波長について行い、種々の反応進行度について、反応前後のN_2Oのアイソトポマー存在比を改良型検出器を備えた安定同位体比質量分析計を用いて計測し、アイソトポマー分別係数を求めた。分別係数は理論的な予測や成層圏における観測値から求められた値と概ね一致すること、また波長依存性があることが明らかになった。 2.光酸化反応における分別係数測定の準備 励気酸素原子を生成させるための光源、反応容器、N_2Oとの反応を起こさせるための反応容器、試料導入系の購入・製作を行った。 3.成層圏におけるN_2Oのアイソトポマー分布の観測および解析 1999年に続き2000年8月に他研究機関と協力して岩手県三陸において大気球を用いた大気試料サンプリングを行った。得られた試料および文部科学省宇宙科学研究所に保存されていた過去の成層圏大気試料(1990年、1998年三陸、1997年スウェーデン・キルナ、1998年南極昭和基地)を高感度化した計測システムにより分析し、N_2Oアイソトポマーの鉛直分布を種々の時期、緯度について求めた。各アイソトポマーの分別係数は高度約23km以下では試料によらずほぼ一定であったが、この高度より上では時期、緯度によって異なることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)