2000 Fiscal Year Annual Research Report
ファラデー効果による開殼分子の光学的電子スピン制御
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12740310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
生駒 忠昭 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (10212804)
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Keywords | ファラデー効果 / 磁気円二色性 / 異常スピン分極 / 光学的電子スピン制御 / パルスEPR / 時間分解型磁気共鳴測定 |
Research Abstract |
平成12年度は、パルスレーザー光およびパルスマイクロ波を使って時間分解電子常磁性共鳴(EPR)検出型ファラデー実験装置の組み上げを目標にした。組み上げた実験装置の概要は次の通りである。外部磁場と平行方向から光を試料に照射できるような光学窓を取り付けたマイクロ波共振器を作成した。これは、サファイアを使った円筒型のXバンド帯域の共振器である。励起光源として波長可変ナノ秒パルスレーザーを用い、試料の吸収帯に適した波長の1/2波長板および1/4波長板を組み合わせてパルス円偏光をつくった。現有するパルスEPR測定装置に備え付けられている電磁石の磁極間隔が限られているので、円偏光用の極小プリズムを用いた微細な光学装置を組み立てた。 標準試料として1/2のスピン多重度をもつ安定なCu^<2+>錯体およびTi^<3+>錯体を用い、ファラデー効果により発生する電子スピン異常分極のパルスEPR観測を試みたが、顕著な磁気光学効果は得られていない。現在その原因を調査中であるが、主として組み上げた実験装置の感度に起因しているものと考えている。そこで、円筒型共振器をループギャップ型共振器に変更することにし製作中である。今後は、感度の向上した共振器によるファラデー実験装置を組み上げ、電子スピンの光学的制御の可能性を探索する予定である。また、有機ラジカルなどにも適用し有機光反応への応用も試みる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Ehara,T.Amino,H.Shinomiya and T.Ikoma,K.Akiyama and S.Tero-Kubota: "Nitrogen-Doping Effects on Electrical Properties of Hydrogenated Microcrystalline Silicon as Studied by Electron paramagnetic Resonance and Conductivity"Japanese Journal of Applied Physics. 39・1. 31-34 (2000)
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[Publications] T.Ehara,T.Ikoma and S.Tero-Kubota: "Multi-band Electron Paramagnetic Resonance Study of the Defects in Microcrystalline Silicon"J.Non-Crystaline Solids. 266-269. 540-543 (2000)
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[Publications] N.Miyajima,T.Akatsu,T.Ikoma,O.Ito,B.Rand,Y.Tanabe and E.Yasuda: "A Role of Charge-transfer Complex with lodine in the Modification of Coal Tar Pitch"Carbon. 38. 1831-1838 (2000)
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[Publications] T.Ikoma,S.Okada,H.Nakanishi,K.Akiyama and S.Tero-Kubota: "ESEEM Study on a Stable Paramagnetic Center in Polydiacetylene Having a π-Conjugated Ladder Structure"Solid State Communications. 117. 285-289 (2001)
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[Publications] Y.Nagano,T.Ikoma,K.Akiyama and S.Tero-Kubota: "Electronic Structures and Dynamics of the Excited Triplet States of α,ω-Diphenylpolyynes"Journal of Chemical Physics. 114・4. 1775-1784 (2001)