2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740326
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
實方 真臣 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (80277368)
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Keywords | シリサイド / クラスター / 合金化過程 / 電子構造 / 幾何構造 / 光電子分光法 / レーザー蒸発法 / 負イオン |
Research Abstract |
金属シリサイドの微視的合金化過程を理解するために、2成分系レーザー蒸発法で金属シリサイド正/負イオンを生成し、生成したクラスターに対して光電子分光実験及び吸着反応実験を行なった.今年度の研究成果として以下のような新たな知見を得ることができた. 金属シリサイド化合物の中でも半導体デバイスの金属-半導体接合材料としてタングステンシリサイドが広く使われることもあり、W-Si系に着目して研究を行なった. (1)微視的合金化過程:タングステン原子がシリコン網へ入ることが可能となる最小のシリコンユニットの大きさが、シリコン10原子程度のシリコン網であることを実験的に明らかにした.微視的合金化過程の初期描像を捕らえることに初めて成功したと考えられる. (2)バンドギャップ工学:MSi_n-(M=W,Mo,Cr)の光電子スペクトルを測定した.クラスターサイズの増加に伴うバンドギャップの発展を捕らえることにより、金属シリサイドクラスターが金属-半導体接合材料として多様な整合性を持った材料となる新たな可能性を提示できた. 一方、シリサイド化合物WSi_2のレーザー蒸発でクラスターを生成した場合、負イオンではW原子を一つ含むWSi_n^-のみ生成するのに対し、正イオンでは多数のW原子を含むW_mSi_n^+が生成する.正負イオンでこれ程生成種が異なる系は珍しく、微視的に合金化を眺めた時に「シリコン網へ金属原子が置換型で入り込むのか、挿入型なのか」、という新たな問題が呈示された.金属原子の原子半径及びイオン半径がクラスター内合金化構造にどのように影響するのか、という観点で今後の研究を展開する.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masaomi Sanekata: "Electronic and geometric struclures of metal-silicide clusters"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 25[4]. 1003-1006 (2000)
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[Publications] Masaomi Sanekata: "Physical and chemical interface effects on Mie plasmon absorption of sodium nanoclusters passivated with CH4-nCln(n=1-4)molecules"Chemical Physics Letters. 323[1-2]. 98-104 (2000)