2000 Fiscal Year Annual Research Report
超音速自由噴流中のアセトアルデヒド分子の光解離反応に対する外部磁場効果
Project/Area Number |
12740331
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池田 滋 理化学研究所, 分子光化学研究室, 研究員 (90270595)
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Keywords | 解離反応 / 磁場効果 / アセトアルデヒド / 蛍光 / 超音速自由噴流 / レーザー誘起蛍光 / ホルミルラジカル |
Research Abstract |
本研究の目的は、気相中の電子励起分子の光解離反応に対する磁場効果を解明することである。本年度は研究遂行に必要な実験装置の製作と予備実験を行った。本研究では、アセトアルデヒドをレーザー励起して解離を引き起こし、更にレーザー誘起蛍光法を用いて解離生成物の収量を測定する予定である。よって、アセトアルデヒドと解離生成物の吸収スペクトルが重なり、それらを分離観測するのが困難になるような事態を避けねばならない。そこで、超音速自由噴流を用いて分子を十分に冷却する必要がある。超音速自由噴流を生成するためには通常電磁バルブを使用するが、磁場の影響を受けるため好ましくない。そこで原理的に磁場の影響を受けないピエゾ素子を使ったパルス・バルブを製作した。また、それを動作させる高圧パルス電源及びバルブとレーザーの同期回路を内蔵したパルス・ドライバーを製作した。 アセトアルデヒドの光解離による解離生成物はいずれも二重項分子なので、解離生成物の発光スペクトルにゼーマン効果が現れることが予想される。そこで予備実験として、解離生成物であるホルミルラジカルの蛍光励起スペクトルを磁場中で測定した。なお、ホルミルラジカルはアセトアルデヒドをエキシマーレーザー(308nm)で励起することにより生成した。ホルミルラジカルの蛍光励起スペクトルは磁場が0〜100ガウスでは変化しなかった。よって、100ガウス以下の磁場を用いれば純粋な磁場効果を測定できることが分かった。
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