2001 Fiscal Year Annual Research Report
ペルフルオロ置換芳香環を用いた包接キャビティの構築
Project/Area Number |
12740342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 直人 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (90281104)
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Keywords | 包接体結晶 / X線構造 / 示差走査熱分析 / フッ素置換 / CF / HC相互作用 |
Research Abstract |
ペルフルオロ置換芳香環のπ電子系に囲まれた結晶キャビティの構築を目指した研究を行った。 第一に、Allcockらのシクロホスファゼン化合物において、カテコール置換基のかわりにテトラフルオロカテコールを導入した誘導体の合成を行った。種々の反応条件を検討したが、目的とした化合物は得られなかった。また、取り込み能は劣るものの、フェノール置換基を有するシクロホスファゼンの誘導体として、ペンタフルオロフェノールをもつ化合物の合成も試みたが、やはりフルオロ基が多数置換した影響による反応性の変化のために、目的化合物は得られなかった。 そこで次に、CH基を多数CF基で置換したトリフェニルメタノール誘導体の合成及び包接挙動を検討することにした。合成は、通常の方法で収率よく行うことができた。続いて、メタノール取り込み能を検討したところ、フルオロ基が多く置換されるに従い、メタノールが取り込まれにくくなる傾向が見出された。これは、フルオロ基によるCF/HC相互作用が多く生じ、これが結晶構造構築のための主要なモチーフになるためと考えられる。実際得られた結晶についてX線構造解析を行ったところ、フルオロ基が多く導入された場合に結晶構造が大きく変化すること、多数のCF/HC相互作用が見出されること、その結果ヒドロキシル基間の水素結合が一部なくなることなどがわかった。 さらに、得られた結晶の熱力学的安定性について、示差走査熱分析を行った。その結果、フルオロ置換基が導入されると、一般的に結晶は熱に対し不安定になることがわかった。この理由は、CF結合がCH結合と比べ、反対の分極を持つためと考えた。理論計算の結果、CF基とπ電子との間の相互作用は、弱いながらも常に反発的であることが見出された。これも、結晶格子が不安定化する要因のひとつと考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Pascal, R.A., Hayashi, N., Ho, D.M.: "Conformational Subtlety in Large Polyphenylene Molecules"Tetrahedron. 57. 3549-3555 (2001)
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[Publications] Hayashi, N., Yamaguchi, K., Matsumoto, K.: "Inclusion Properties and Crystal Structure of Clathrates Constructed Based on "pi-sandwich""Supramol. Chem.. 13. 45-52 (2001)
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[Publications] Hayashi, N., Yamaguchi, K., Matsumoto, K.: "Correlation between Structure and Thermal Behavior in Isostructural Clathrates"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. 356. 407-411 (2001)
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[Publications] Hayashi, N., Ho, D.M., Pascal, R.A.: "An Unusual Cobalt-Mediated Cleavage of a Hindered Alkyne"Tetrahedron Lett.. 41. 4261-4264 (2000)
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[Publications] Hayashi, N., Yamaguchi, K., Matsumoto, K.: "Packing Structure of Phenol Trimers"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. (印刷中).