2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740343
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小笠原 正道 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70301231)
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Keywords | 不斉合成 / アレン / 軸不斉 / 遷移金属錯体 / パラジウム / 均一系触媒 |
Research Abstract |
研究代表者等によって見い出されたパラジウム-ホスフィン錯体触媒による,1-置換2-ブロモ-1,3-ブタジエン類からのアレン合成反応に,様々な不斉ホスフィン配位子を適用し,軸不斉光学活性アレンの合成を試みた.不斉配位子としては,BINAPなどのビアリール骨格を有する軸不斉2座ホスフィン類が有効であることが確認され,最高89%eeの光学活性アレンが得られた.この値は,不斉遷移金属錯体触媒による軸不斉アレンの不斉合成としては,現在までに知られているなかで最高レベルの値である. また,工業原料として安価に大量に入手可能であるクロロプレンを,我々が見い出したアレン合成反応の基質として利用できることを見い出した.一般に,1位に置換基を有する2-クロロ-1,3-ブタジエン類は,類似のブロモ化合物とは異なりパラジウム触媒アレン合成反応において不活性な基質であるが,1位が無置換の同族体であるクロロプレンは,クロロ化合物としては例外的に活性であり,パラジウム触媒反応により様々な官能基を有する末端アレン類を合成することが可能であることを見い出した.ここで得られる末端アレン類は,1置換アレンであり,その構造の単純さから有機合成のシントンとして重要な化合物である. 3-ブロモ-5-シリル-1,3-ブタジエン類は,アリルシラン単位を部分構造として含んでおり,ルイス酸存在下で様々な求電子剤と反応する.求電子剤との反応の後,パラジウム触媒アレン合成反応に適用すると,両末端にそれぞれ求電子剤,求核剤由来の官能基を持つアレンが得られることを見い出した.また,パラジウム触媒求核置換アレン合成反応の後に,ルイス酸による求電子置換反応を行うと,アレンではなく共役ジエンが得られる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小笠原 正道: "Palladium-Catalyzed Asymmetric Synthesis of Axially Chiral Allenes : A Synergistic Effect of Dibenzalacetone on High Enantioselectivity"J. Am. Chem. Soc.. 123・9. 2089-2090 (2001)
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[Publications] 小笠原 正道: "Chloroprene as a Source of Fine Chemicals : Palladium-Catalyzed Aynthesis of Terminal Allenes"Org. Lett.. 3・16. 2615-2617 (2001)
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[Publications] 小笠原 正道: "パラジウム錯体を用いたアレン類の触媒的合成"Organometallic News. 30-33 (2001)