2000 Fiscal Year Annual Research Report
結晶中における金属錯体間の励起エネルギー移動の方向性や効率の制御に関する研究
Project/Area Number |
12740359
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 拓洋 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20280993)
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Keywords | エネルギー移動速度 / ドナーとアクセプター / ルテニウム錯体 / 複錯体 / 距離と相対配向 / クロム錯体 / 単結晶 / X線構造解析 |
Research Abstract |
[Ru(bpy)_3]^<2+>と[Cr(CN)_6]^<3->からなる複錯体と、[Ru(phen)_3]^<2+>と[Cr(CN)_6]^<3->からなる複錯体の単結晶をそれぞれ合成し、X線構造解析よりドナーとアクセプターとの距離や相対配向を決定した。また、それらの単結晶中におけるRu(II)錯体の発光寿命を用いてRu(II)錯体からCr(III)錯体へのエネルギー移動速度を見積もった。それらの結果を比較検討した結果、[Ru(phen)_3]_2[Cr(CN)_6]Cl・2(CH_3)_2CO・14H_2O中におけるドナーとアクセプターとの中心金属間距離は[Ru(bpy)_3]_2[Cr(CN)_6]Cl・8H_2Oに比べて約2Åも短いにもかかわらず、エネルギー移動速度が約6分の1程度に小さくなることを見い出した。これらの実験結果から、金属錯体間のエネルギー移動速度が単純な中心金属間距離に依存しているわけではなく、ドナーとアクセプターの相対配向に大きく依存していることを明らかにした。また、[Ru(phen)_3]^<2+>と[Cr(CN)_6]^<3->からなる複錯体の単結晶は多形で、結晶の成長させ方によって[Ru(phen)_3]_2[Cr(CN)_6]Cl・xH_2Oを得ることができた。この結晶中では、最近接の[Ru(phen)_3]^<2+>と[Cr(CN)_6]^<3->の距離や相対配向は[Ru(phen)_3]_2[Cr(CN)_6]Cl・2(CH_3)_2CO・14H_2Oとほぼ等しいにもかかわらずエネルギー移動速度は10倍も大きくなることを見い出した。これらの実験結果から、金属錯体間のエネルギー移動では必ずしも最近接にあるドナー・アクセプター間でエネルギー移動が起こるわけではないことを明らかにした。
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