2000 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素をエフェクターとする新規なヘム含有転写調節因子の転写活性化機構
Project/Area Number |
12740361
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 洋 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (00283151)
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Keywords | 一酸化窒素 / 転写調節因子 / ヘム蛋白質 / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
転写調節因子Dnrによるエフェクター分子の認識 緑濃菌Pseudomonus aeruginosaに存在する亜硝酸イオン還元酵素ならびに一酸化窒素還元酵素の転写調節因子であるDnrタンパクを、大腸菌を宿主とする組換え体を用いて95%以上の精製度で生成した。精製直後のタンパクは、疎水性相互作用に基づくホモダイマーを形成しており、酸素存在化で徐々にサブユニット間に共有結合を生成する。この結合は、還元剤であるジチオナイトナトリウムによって可逆的に開裂することから、Dnr中に酸化還元反応に基づく共有結合の生成・開裂を起こす部位の存在が明らかとなった。現在この反応を生じるアミノ酸残基の同定を進めると共に、Dnrエフェクター分子の可能性がある窒素酸化物とDnrとの反応を行い、見出した共有結合の生成または開裂がどの酸化物によって生じるか検討している。 転写調節因子CooAと一酸化窒素との反応 CooAは光合成細菌Rhodospirillum rubrumに存在し、一酸化炭素(CO)を生理的エフェクターとする転写調節因子である。本研究によってCooA中の補欠分子族,プロトヘムは、COのみならず一酸化窒素(NO)とも反応し、CooAのヘム近傍において構造変化を引き起こすことが明らかとなった。CooAとCOとの反応では6配位構造をとるヘムの軸配位子の一つがCOによって置換され、6配位カルボニルヘムを生成するのに対し、NOとの反応では、NOの配位に伴ってトランス位の軸配位子が部分的に脱離し、5配位型と6配位型ニトロシルヘムを共に生成することが分かった。また5配位型と6配位型の存在比は、低温(-20℃)では5配位型が、高温(+35℃)では6配位型が優勢になる特異な温度依存性を示した。現在、6配位型ニトロシルヘムがカルボニルヘムと同様にCooAを活性型に変換することが可能どうか検討を行っている。
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