2000 Fiscal Year Annual Research Report
バナジル錯体をミクロ細孔に組み込んだ高酸化性反応空間の構築
Project/Area Number |
12740363
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 満 京都大学, 工学研究科, 助手 (80254142)
|
Keywords | 配位高分子 / 銀(I)配位高分子 / ポルフィリン骨格 / 一次元構造 / ミクロ細孔 / 多孔性構造 / 酸化還元活性ネットワーク / 配位不飽和サイト |
Research Abstract |
バナジル錯体がミクロ細孔に組み込まれた骨格を実現するために、まずポルフィリン骨格を連結したを利用した多孔性骨格の実現を検討した。テトラピリジルポルフィリン(H_2TPyP)とテトラフルオロリン酸銀を反応させることにより、多孔性構造を持つ[Ag(TPyP)]・PF_6を得ることに成功した。単結晶構造解析の結果、この化合物はTPyPの4つのピリジル環の内トランス位にある2つのピリジン環同士が銀イオンで連結された一次元骨格が(a-c)ベクトルに沿って生成していることが分かった。また、この一次元鎖は約20Å(2nm)の繰り返し周期を持ち、ナノサイズのスケールを持つ化合物が得られたことが明らかとなった。さらにこれらの一次元鎖が規則正しく積層することにより、b軸に沿って約13x5Åのチャンネルが生成していることが見出された。このチャンネルの内部には1つのポルフィリン環当たり、1.5個のテトラクロロエタン、1個のメタノール、及び1個の水分子が取り込まれており、反応基質となる小分子を取り込める有用なミクロ細孔が形成していることが確認された。このポルフィリン環にバナジルを初め、種々の金属イオンを取り込ませることにより、多様な配位不飽和金属サイトを有する多孔性型配位高分子が得られることが示唆された。これは配位不飽和金属サイトが効果的に導入可能な多孔性骨格が構築された最初の合成例であると考えられる。また、サイクリックボルタモグラムの測定に於いて、この化合物はポルフィリン環部分に基づいた還元波を示したことから、酸化還元活性な新規ネットワーク化合物が得られたことも分かった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Mitsuru Kondo 他5名: "A New Self-Assembled Porphyrin-Silver (I) Network"Chem.Lett.. 818-819 (2000)
-
[Publications] Mitsuru Kondo 他5名: "Synthesis and Structures of Coordination Polymers with 4,4'-Dipyridyldisulfide"J.Solid State Chem.. 152. 113-119 (2000)