2000 Fiscal Year Annual Research Report
機能を制御する水素結合を直接見る金属蛋白質の超高分解能X線結晶解析
Project/Area Number |
12740365
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗栖 源嗣 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (90294131)
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Keywords | 生物無機化学 / 水素結合 / 高分解能 / 複合体 / 結晶解析 |
Research Abstract |
金属蛋白質が金属酵素や電子伝達蛋白質として働くためには、金属-蛋白質間の結合制御が重要であると考えられている。生物無機化学の分野ではモデル金属錯体を使った実験で、配位子に対する水素結合の重要性が指摘されているが、実際の金属蛋白質では不明な点が多い。その理由は蛋白質結晶解析では、通常「金属・炭素・窒素・硫黄」のみの位置情報しか得られず、機能制御に重要である水素原子の正確な位置を求めることが出来ないからである。そこで大型放射光施設Spring-8の高輝度X線を使って亜鉛酵素と鉄・硫黄蛋白質の1.0Å分解能を超える超高分解能構造解析を行い、水素結合の役割を直接確認し、金属蛋白質に特有の結合性制御機構を実験的に解明することを目的としている 放線菌S.caespitosusが産出する亜鉛プロテアーゼの結晶はX線に対して非常に安定で、高分解能までの回折強度データを与える。平成13年度にはX線源に吸収効果の少ない波長0.7ÅのX線を使って収集した1.0Å分解能までの回折強度データを使い、構造精密化計算を継続して行った結果、信頼度因子14%の構造を得た。得られた構造中では、活性中心の水素原子の位置を正確に同定することは出来ていないが、金属-窒素、金属-酸素間の結合距離がモデル化合物などで指摘されている距離と異なることを、はじめて蛋白質の構造で示すことが出来た。この結果はJ.Inorg.Bioche.誌に速報として掲載した。また、もう一つのターゲットである植物型フェレドキシンに関しては、超高分解能解析には至っていないが、酸化還元酵素との複合体状態での構造解析に成功し、電子伝達を行う状態では活性中心周りの構造が変化していることをはじめて突き止めることができた。今後、このフェレドキシンの立体構造に着目し高分解能の解析を行っていき、機能を制御する水素結合の直接、間接的な確認を行っていく予定である。
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[Publications] Genji Kurisu, et,al.,: "Structure of the zinc-binding site in the crystal structure of a zine endoprotease from Sirepeomycel caeypicosus"J.Inorganic Biochemistry. 82. 225-228 (2000)
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[Publications] Nosato Otagiri,Genji Kuris, et,al.,: "Crystallization and Prcliminary X-ray studies of L- (t) -2, 3-butaneotiol denydrogenase from Br.Saccharolyticum."Protein and Peptide Letters. 8,1. 57-61 (2001)
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[Publications] Mosato Otagiri,Genjikunsu, et,al,: "Crystal structure of maso-2,3-butanediol derugitiagenase in a complex with NAP and Inhibitor mercapto ethanol atli7Å"J.Biochomistry. 129. 205-208 (2001)
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[Publications] Genji Kurisu, et, al.,: "Structure of the electron transfer complex between ferredoxin and ferredexin-NADP^+ reductase"Nature Structural Biology. 8. 117-121 (2001)