2000 Fiscal Year Annual Research Report
巨大磁気モーメントを持つ新規スピンクラスターの創製と研究
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12740371
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
荘 金鐘 (財)神奈川科学技術アカデミー, 光科学重点研究室第四グループ, 研究員 (50312301)
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Keywords | スピンクラスター / 単分子磁石 / オクタシアノ錯体 / 結晶構造 / スピン量子数 / 磁気異方性 |
Research Abstract |
ごく最近我々は[W(CN)_8]^<3->を構築素子としていままで最大のスピン量子数(S=39/2)を示すMn^<II>_9W^V_6クラスターの創製に成功した。その後磁気異方性のことも考慮に入れて他の常磁性金属イオンとの反応を検討した。 1.Co_9W_6 cluster(1):X線構造解析から、1の結晶は15核のCN架橋錯体{Co_9[W(CN)_8]_6・24CH_3OH}とそれらを取り囲む溶媒のメタノール分子からできていることがわかった。15核ユニットは全ての面がキャップされたキュバン構造(full-capped cubane)を取っている。Co_9W_6ユニットはMn_9W_6の場合に比べて対称性が落ちてC_2軸しか持っていない。磁化曲線では、低磁場のときから急激な磁化の増加がみられ、5kGでは磁化が18.4μBになった。CoイオンとWイオンが反強磁性的にカップリングしたことより計算した理論値[M=gβNS=21(S=9S_<co>-6S_w=21/2)]より低いが、まだ飽和していないためである。交流磁化曲線においては、約3K以下では虚数部分はゼロから有限の値となり、磁化のブロッキングが起こっていることを示し、さらに低い温度では単分子磁石になると考えられる。 2.Ni_9W_6cluster(2):2は(1)とよく似た15核のキュバン構造(C_2対称)をしている。磁気測定はNi^<II>とW^Vが強磁性的にカップリングしてS=12の基底状態を持っていることを示す。交流磁化曲線においては、虚数部分はゼロに近い値となり、磁化のブロッキングが起こっていないことがわかった。これはおそらくNiイオンがCoイオンに比べて、異方性が小さいためによるものと考えられる。 以上のことより、M_9W_6クラスターの基底状態のS値は構成金属イオンを選ぶことによりある程度制御でき、また極低温における磁化のブロッキングはSの大きさに影響されるだけでなく、構成金属イオンの異方性やクラスターの対称性にも左右されることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Zhuang Jin Zhong: "A high spin Mn_9W_6 cluster (S=39/2) with a full-capped cubane structure"J.Am.Chem.Soc.. 122・12. 2952-2953 (2000)
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[Publications] Zhuang Jin Zhong: "Crystal structure and magnetic properties of an octacyanometalate-based three-dimensional tungstate (V) -manganese (II) bimetallic assembly"Inorg.Chem.. 39・22. 5095-5101 (2000)