2001 Fiscal Year Annual Research Report
局所磁化測定による二次元有機超伝導体の磁束状態とその動的特性観測の試み
Project/Area Number |
12740374
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米山 直樹 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80312643)
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Keywords | BEDT-TTF / 有機超伝導体 / 磁束状態 / 局所磁化測定 / 磁束格子融解 |
Research Abstract |
1.к-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2の高温低磁場域における磁束格子融解観測 これまでは試料のHall素子への設置にはグリースを用いていたが、この方法では試料の密着性が悪く測定が困難で、さらにHall素子の寿命をも短くしていた。これを根本的に解決するため、試料ホルダーの試作と実験を繰り返した末、最終的にグリースを用いずに試料を固定する、押しバネ式ホルダーを設計、製作した。これにより、研究開始当初からの課題であった100Oe以下での磁束格子融解の観測に成功した。80Oe以下では、磁化の不可逆温度直下において転移幅50mK以下のシャープな磁化の飛びが観測され、一次相転移と考えられる。一方80Oe以上では、よりブロードなステップ構造が現れ、こちらは過去の報告と一致する挙動である。この80Oeという磁場は磁化の第二ピーク磁場(H_p)に相当する。温度-磁場相図において磁束格子融解線でのシャープな飛びは、H_pの外挿線より高磁場側で抑圧されているように見える。酸化物との類推から、80Oe以上のブロードなステップは一次相転移ではなく、ピンニングに関係する転移またはクロスオーバーと思われる。 2.к-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Brの温度-磁場相図の冷却測度依存性 測定の利便性向上のため、それまでのMS-DOS環境から一新し、MS-Windows環境での測定プログラムを作製し、測定を行った。しかし本試料には冷却速度依存性だけでなく試料依存性の影響が少なからずあると思われ、現時点で磁束格子融解と思われる顕著な実験成果は得られていない。 3.к-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2の磁束状態に関する動的特性観測の試み 課題[1]への取り組みで大半の時間を費やしたため、年度中に本課題に着手するまでに至らなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Naoki Yoneyama: "First-order phase transition in к-type BEDT-TTF organic superconductors"Synthetic Metals. (印刷中). (2002)
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[Publications] Naoki Yoneyama: "Local magnetization measurements of the organic superconductor к-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2"Synthetic Metals. 120. 815-816 (2001)