2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740375
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三俣 哲 山形大学, 工学部, 助手 (80322006)
|
Keywords | 高分子ゲル / レオロジー / 動的粘弾性 / 超音波 / ハイブリッドゲル |
Research Abstract |
有機-無機ハイブリッドゲルのレオロジー特性について研究した。グルタルアルデヒドを架橋剤としてPVAとアルミナのハイブリッドゲルを合成した。得られたゲルは全ての組成で透明なハイドロゲルであった。アルミナ含有量の高いゲルでは、遅膨潤性の膨潤挙動を示し、約5日目で平衡状態に達した。M_<al>/M_<PVA>>0.2mol/mo1では平衡膨潤度は急激に増加し、M_<al>/M_<PVA>=0.2mol/molは140に達した。ハイブリッドゲルの貯蔵弾性率は周波数にほとんど依存しない。PVAゲルとハイブリッドゲルの貯蔵弾性率は、平衡膨潤度の増加とともに減少した。平衡膨潤度がM_<al>/M_<PVA><0.5mol/molでは、PVAゲルとハイブリッドゲルの貯蔵弾性率はほぼ同じである。しかしながらM_<al>/M_<PVA>>0.5mol/molでは、ハイブリッドゲルのほうがPVAゲルよりも大きい。これは、ハイブリッドゲルとPVAゲルのネットワーク構造が異なっていることを示唆している。ハイブリッドゲルのPVAネットワークにアルミナが凝集していると仮定すると、PVAに比べ貯蔵弾性率が大きくなることが説明できる。SEM、X線分析の結果からハイブリッドゲルのネットワークはPVAとアルミナから成ることが明らかになった。これらの結果と、膨潤収縮挙動を示すことから、ハイブリッドゲルのネットワーク構造はアルミナのような剛直な無機鎖、あるいは無機鎖とPVAの相互侵入型(IPN構造)ではなく、PVAのネットワークにアルミナが凝集した構造と考えられる。PVAとアルミナ間には側鎖の水酸基による水素結合が考えられ、この結合により、アルミナがPVAネットワークに凝集していると考察した。超音波の音速測定からも力学測定の結果を支持する結果が得られた。
|