2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740384
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋田 健行 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (50294963)
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Keywords | 分子磁性 / 水素結合 / 超分子構造 / ビイミダゾール / ニトロニルニトロキシド / 強磁性的相互作用 / 包接 / ラジカル |
Research Abstract |
結晶中において二重の水素結合により剛直な一次元鎖状構造を構築することが知られているビイミダゾールの5-位あるいは5,5'-位にスピン源として一つまたは二つのニトロニルニトロキシド基を導入した化合物1及び2を合成し、その結晶構造と磁気的性質に関して検討した。また1、2の1,1'-位にメチル基を二つ導入し、水素結合能を無くした化合物3、4を合成し、ニトロキシドラジカル分子の結晶中における水素結合の重要性について検討を行った。その結果、モノラジカル1では母体化合物と同様に、隣接する分子のビイミダゾール基間の二重のN-H・・・N型水素結合により剛直な一次元鎖状超分子構造を形成し、ニトロニルニトロキシド基間に強磁性的な相互作用(J=+1.1K)が見いだされた。またビラジカル2は、水素結合性ラジカルホスト分子として振る舞い、数種の水素結合性溶媒をゲスト分子として包接し、様々な超分子構造を構築できることが解った。一方、水素結合能を持たない3、4については、3において隣接するニトロニルニトロキシド基のα-炭素原子と酸素原子との偶然のコンタクトにより強磁性的な相互作用(J=+4.0K)が観測されたが、どちらの化合物においても結晶構造中での分子配置の自由度が高く、ニトロキシド基間の静電的相互作用の結果、強磁性的相互作用には好ましくないニトロキシド基間のコンタクトが見いだされた。このようにニトロニルニトロキシド化合物の結晶中における水素結合は超分子構造の構築の重要な要素になると共に、分子配置の自由度を制限し、ニトロキシド基間の静電的コンタクトを避ける役割も果たしていることが解った。
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