2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740384
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋田 健行 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (50294963)
|
Keywords | 分子磁性 / 水素結合 / 超分子 / 光応答性 / ニトロニルニトロキシド / ジアゾ / カルベン / 強磁性的相互作用 |
Research Abstract |
水素結合の多点認識を用いて光応答性を持った有機高スピン超分子を構築するため、水素結合のアクセプター部位を持つスピン源として二つのニトロニルニトロキシド基及び光応答性スピン源としてジアゾ基を導入した、ビス(フェニルエチニル)ベンゼン誘導体1及びビス(フェニルエチニルフェニル)メタン誘導体2を合成した。 まずこれらの化合物1,2の単分子での磁気的性質とその光応答性を検討するため、極低温剛体溶媒中でのESR測定及びSQUID磁束計による磁気測定を行った。化合物1,2をMTHF溶液とし、極低温状態での磁気測定を行うと、ふたつのニトロニルニトロキシド基間に磁気的な相互作用がほとんどなく、S=1/2の孤立した二つのスピンとして振る舞うことがわかった。さらにこれらの溶液にアルゴンイオンレーザーまたはキセノンランプにより光照射を行うと、ジアゾ基の光反応によりほぼ定量的にカルベンを生成し、生成したカルベンのスピンとニトロニルニトロキシド基のスピン間に強磁性的な相互作用が生じることにより、S=2の基底五重項分子として振る舞うことがわかった。その磁化の磁場依存性及び温度依存性よりそれぞれの強磁性的相互作用の大きさは化合物1ではJ/k_B=1.1K、化合物2ではJ/k_B>10Kと見積もられた。これらの結果より化合物1,2は水素結合のアクセプター部位を持っ光応答性スピン源として利用することができると考えられる。 そこで現在、これらの化合物1,2と、当研究代表者らが水素結合性分子間強磁性スピンカップラーとしての機能を持つことを明らかにしたフェニルボロン酸誘導体との水素結合性錯体超分子の生成を検討中である。
|
Research Products
(1 results)