2000 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性ゲルを添加した溶媒抽出系の抽出能および分離能増大効果に関する基礎研究
Project/Area Number |
12740405
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
國仙 久雄 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10251571)
|
Keywords | 疎水性ゲル / 溶媒抽出 |
Research Abstract |
緒言 溶媒抽出法は重金属の分離回収操作において最も有用である。溶媒抽出法では、金属錯体の有機溶媒中への溶解度が大きいハロゲン化炭化水素を主に用いてきた。しかしこれらの有機溶媒はオゾン層破壊など環境に著しい悪影響を与えるため使用できない方向にあり、これらの有機溶媒を用いない溶媒抽出法の開発を行う必要がある。本研究は、有害なハロゲン化炭化水素を用いない抽出系の構築を目的とし、環境に対して低害あるいは無害の有機溶媒を用いた抽出系に、アルキル基を結合させたシリカゲルを添加し、抽出化学種が疎水性ゲル相へ抽出効率ならびに選択性の向上を目指した。 実験 アルキル基を導入した疎水性シリカゲルは定法に従って合成した。この疎水性シリカゲルを通常の抽出系に添加し金属院の抽出実験を行った。本年度は抽出試薬の疎水性の大きさと抽出定数の増加の関係を、アルキル基の長さを変えて疎水性を制御したオキシン誘導体を合成して、これらを用いた遷移金属の溶媒抽出実験を行い検討した。 結果と考察 疎水性シリカゲルをオキシン誘導体を用いた抽出系に添加すると、全ての抽出系において抽出能が増加する事がわかった。また、用いた抽出試薬の疎水性が大きくなるに従って抽出能の増加は小さくなった。これは疎水性の大きな抽出試薬を用いて抽出された錯体は、すでに有機溶媒への溶解度が非常に大きく、従って相対的に疎水性ゲル相への分配が小さいため見かけ上抽出定数の増加が小さいと考えられる。
|