2000 Fiscal Year Annual Research Report
表面誘起解離による生体高分子化合物の構造解析法の開発
Project/Area Number |
12740407
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
佐藤 哲也 山梨大学, 工学部, 助手 (60252011)
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Keywords | 表面誘起解離 / 生体高分子 / 構造解析 / 飛行時間型質量分析計 / リニア / タンデムマス / 衝突誘起解離 / 自己組織化膜 |
Research Abstract |
タンデムTOFMSと表面誘起解離(SID)法を組み合わせたSID-MS/MS法は、衝突誘起解離(CID)法では分解が困難な高質量分子(m/z>10,000)の構造解析法として有効である。本研究の目的は、生体高分子などの高質量分子の構造解析を高分解能かつ高感度で行うために、多重回の表面誘起解離(SID-(MS)^n)が可能なリニア型多重反射飛行時間質量分析器(LMR-TOFMS)を開発することにある。前段のTOFで質量選別されたイオンが、反射電極で減速され、基板と垂直に衝突する。基板の材質としては、仕事関数の大きな金属酸化膜(ReO_2)や、イオン化ポテンシャルの大きな(〜13eV)フッ化炭素鎖などの自己組織化膜(SAM)を用いる。生成したフラグメントイオンは、基板上の電極間電圧で加速されて、イオン加速/反射電極系に向かう。この電極で反射され、飛行時間法で時間収束(質量分離)された後、基板に再度衝突する。目的に応じて基板と複数回衝突させた後、フラグメントイオンを、偏向電極に印加したパルス電圧により偏向し、マイクロチャンネルプレートに導き検出する。 本年度は高分解能測定のためのイオン光学系の設計や、加速・減速電場強度および印加パルス幅など、各種パラメーターの最適化条件を検討した(第48回質量分析総合討論会、3-P-05)。TOF加速部の平行電極間におけるイオンの空間広がり、および飛行軸方向の運動エネルギ分布を考慮して、TOFの数値計算シュミレーションを行った。本研究で考案した、SID-(MS)^n法の利点は、複数のフラグメントイオンのSIDに関する多くの情報を短時間に、且つ一度の実験で得ることができる点である。複数回衝突におけるTOFスペクトルの数値解析法や、フラグメントイオンのエネルギー収束条件と質量分解能との相関について検討した。
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