2000 Fiscal Year Annual Research Report
液・液界面で新生した活性化学種の特異反応性の分析化学的研究
Project/Area Number |
12740408
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 裕美 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助手 (40314306)
|
Keywords | 液・液界面 / 活性化学種 / 界面吸着 / 極大波 / ボルタンメトリー / 酸素 / 酸化還元反応 / 親水性イオン |
Research Abstract |
本研究の目的は、水相と有機相との界面での特異反応例を多数探査、集積し、界面でバルクとは異なる活性化学種が生成する一般的条件および生成機構を確定して、その分離・検出反応としての特徴を抽出することにある。本年度は、これに関連した次のような研究を行った。 [1]水相|有機相界面でのイオン移動反応に伴う極大波と活性イオン種について 親水性度の異なる各種のイオンの有機相から水相への移動について液液界面イオン移動ボルタモグラムを記録した。その結果、有機相から移動するイオンが親水的であればあるほど大きな極大波を与えることが分かった。その理由を次のように解釈した。すなわち、親水性イオンが有機相から水相に移動するとき、界面では水相バルクとは異なり、水和の不完全な状態をとる。このように水和が不完全なイオンは、完全に水和されたイオンに比べて不安定すなわち活性であるため、界面で有機相中の疎水的イオンを対イオンとしてイオン対を生成しながら界面に吸着する。吸着は界面張力を変化させるため、界面領域では攪拌が生じ、イオンの界面移動量が増大して極大波を生じる。 [2]水相|有機相界面酸化還元反応に伴う界面活性種の生成について 水相|有機相界面での有機相中のクロラノール(CQH_2)による水相中のO_2の還元反応を、液液界面電荷移動ポーラログラフィーおよび界面定電位差電解法によって調べた。バルクの水相に存在するH_2O_2と有機相中のCQH_2との反応は遅いにもかかわらず、水相|有機相界面でO_2から還元生成した化学種の有機相中のCQH_2との反応は速く、この化学種はさらにH_2Oまで容易に還元されることが分かった。界面で生成した化学種をO_2^<2->と予測しているが、その反応性は、バルクに存在するH_2O_2の反応性と大きく異なると考えられる。両者の反応性の差異の理由を現在検討中である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] K.Maeda,S.Nagami,Y.Yoshida,H.Ohde and S.Kihara: "Voltammetric elucidation of the process of self-sustained potential oscillation observed with a liquid membrane system composed of water containing cetyltrimethylammonium chloride/nitrobenzene containing picric acid/pure water"J.Electroanal.Chem.. Vol.496. 124-130 (2001)
-
[Publications] H.Ohde,K.Maeda,Y.Yoshida and S.Kihara: "Redox reactions between molecular oxygen and tetrachlorohydroquinone at the aqueous/organic interface"J.Electroalal.Chem.. Vol.483. 108-116 (2000)
-
[Publications] S.Kihara,H.Ohde,K.Maeda,Y.Yoshida and O.Shirai: ""Biomimetic charge transfers through artificial membranes" in "Liquid Interfaces in Chemical, Biological and Pharmaceutical Application""A. Volkoved., Marcel Dekker, New York. 27 (2001)