2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜における薬物相互作用の評価のための液膜系の電位自励発振の測定
Project/Area Number |
12740410
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
荒井 健介 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10266885)
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Keywords | 液膜系 / 電位自励発振 / オクタノール / 薬物 / 油水界面 / 吸着 / 界面活性剤 / 生体膜 |
Research Abstract |
本年度は、液膜系の電位自励発振現象を化学計測に応用するための基礎的検討として、生体膜における薬物相互作用の評価のための計測システムの確立を図った。 水/オクタノール/水の3相液膜系を構成し、右側水相に界面活性剤とエタノール、オクタノールの油相に対イオン形成剤を加えて両水相間の電位を計ると、ある一定の誘導期間を経た後、両極間の電位が変化して非線形の電位振動現象が現れることを、すでに明らかにしている。生体膜のモデルとして最適な液膜系の構成要素を確定し、しかも薬物計測に至適の計測システムを確立するために、薬物に対する液膜系の電位自励発振のメカニズムを解明し、さらにこのメカニズムを考慮に入れて再現性に優れた計測システムを設計した。以下に概要を示す。 (1)メカニズムの解明:液膜系における油水界面-薬物間相互作用の知見が不可欠であると考え、油水界面ボルタンメトリーによる薬物の油水界面の移動、電気毛管曲線の測定による薬物の油水界面における吸着、キャピラリー電気泳動法による薬物のミセル形成、薬物存在下の油水界面電位の測定、光学測定による油水界面の観測、などを行った。その結果、疎水性の高い薬物は界面活性剤の界面ミセル層に取り込まれること、取り込まれた薬物により電位振動が有意かつ特徴的に変化すること、などを知った。これにより、生体膜の主な構成成分であるリン脂質などの界面活性剤と相互作用するような薬物について、本システムを用いて計測が行なえることを明らかにした。 (2)計測システムの設計:測定セル、電位差計、およびレコーダー(あるいはパーソナルコンピュータ)からなる計測システムを試作した。界面現象が重要であることから、界面活性剤の界面層形成に影響を及ぼすと考えられる、界面活性剤の性質、セルの構造、セル材質、などについて検討し、計測のための最適条件を得た。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kensuke Arai and Fumiyo Kusu: "Liquid Interfaces in Chemical, Biological, and Pharmaceutical Applications"Marcel Dekker, Inc.. 699〜727 (2001)