2001 Fiscal Year Annual Research Report
資源が時間的に不均質な環境下で、温度の変動様式が植物の成長に与える影響の研究
Project/Area Number |
12740417
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鈴木 準一郎 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (00291237)
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Keywords | 環境の不均質性 / シロイヌナズナ / 成長阻害 / 生物時計 / 温度変動 / 時間的な不均質性 |
Research Abstract |
時間的に変動する温度環境と栄養塩の分布の時間的な不均質性が植物の種子生産に及ぼす影響を定量的に明らかにすることを目的に、シロイヌナズナを用いた栽培実験を行った。1日を単位に繰り返される夜間の低温と昼間の高温という温度変化に、植物は陸上に現れて以来さらされ続けているので、たとえ植物が経験する環境の積算温度が一定であっても、暗期の高温と明期の低温が繰り返される環境や、常時一定の温度が維持される環境では、明期の高温と暗期の低温が繰り返される環境下に比べて、植物の種子生産は低下すると予想した。 明期と暗期が12時間で交代し、高温期が22度、低温期が10度、あるいは恒温16度のいずれかをとるとした3条件を設定した。シロイヌナズナの種子生産は、生育初期には、明期の高温と暗期の低温が繰り返される環境下でもっとも大きくなった。明期暗期に関わらず一定の温度が維持される環境下の植物の成長が生育初期では次に大きかった。暗期の高温と明期の低温が繰り返される環境で種子生産は、生育初期には著しく阻害された。しかし、明期の高温と暗期の低温が繰り返される環境下でのシロイヌナズナに比べ、暗期の高温と明期の低温が繰り返される環境で生育するシロイヌナズナは、種子繁殖の期間が長くなる傾向が認められた。よって、植物個体の生涯を通じた種子生産量に関しては、これらの環境間での大きな違いは認められなかった。 また、この結果から、シロイヌナズナの老化に関する遺伝子の発現の制御には、光環境と温度環境の両者が同時に影響を及ぼしている可能性が考えられる。
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