2000 Fiscal Year Annual Research Report
高二酸化炭素濃度下で葉内拡散抵抗が光合成に及ぼす影響
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12740423
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
富田 祐子 (半場 祐子) 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90314666)
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Keywords | 光合成 / 拡散抵抗 / 高二酸化炭素 / 葉の内部構造 / 作物 |
Research Abstract |
近い将来、大気中の二酸化炭素濃度は現在のおよそ2倍になると予測されているが、この高二酸化炭素濃度下での光合成速度の反応には、葉の内部での二酸化炭素の拡散抵抗がきわめて大きな影響を及ぼすと考えられる。葉の内部の拡散抵抗が小さいと思われる作物種のグループ(アサガオ、ヒマワリ、トマト)と、大きいと思われる作物種(常緑の木本:コーヒー)を環境制御した温室内で栽培し、高二酸化炭素濃度下(70Pa)と通常の二酸化炭素濃度下(35Pa)での光合成反応及び葉の形態変化を種間比較した。現在までの実験により、次のような結果が得られた。 ◆生育させた二酸化炭素濃度の下で測定した光合成速度は、全ての種において、高二酸化炭素濃度下で増加する傾向にあった。草本植物であるアサガオについては、この増加の程度は小さかった。 ◆予想に反して、葉内拡散抵抗は、トマトを除き、高二酸化炭素濃度下では減少する傾向のあることが分かった。 ◆気孔抵抗も、葉内拡散抵抗と同様の傾向にあり、トマト以外では、高二酸化炭素濃度下で増加する傾向にあった。 以上の結果から、葉肉や気孔での二酸化炭素に対する抵抗は、高二酸化炭素濃度下で増加し、光合成速度を抑制する大きな要因になることが示唆された。アサガオで、高二酸化炭素濃度下での光合成があまり増加しなかったのは、これらの抵抗が他の種と比較して大きかったためであると考えられる。これまでの研究で、光合成速度が大きいにも関わらず葉内拡散抵抗が大きくなるという例はほとんどないため、今回得られた知見はきわめて興味深い。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yuko T.Hanba,Naohiko Noma and Kiyoshi Umeki: "The relations between leaf characteristics, tree sizes, and species distribution along a slope in a warm temperate forest."Ecological Research. 15. 393-403 (2000)
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[Publications] Hiroyuki Kogami,Yuko T.Tanba,Takeshi Kibe,Ichiro Terashima,Takehiro Masuzawa: "CO_2 transfer conductance, leaf structure and carbon isotope discrimination of Polygonum cuspidatumn leaves from low and high altitude."Plant, Cell, and Environment. (2001)
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[Publications] 半場祐子: "安定同位体の測定法と植物生理生態への利用"岡山大学環境計測共同利用施設 年報「しぶかわ」. (2001)