2001 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナの突然変異株を用いた花序形態形成の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
12740431
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 卓 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20271710)
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Keywords | シロイヌナズナ / 形態形成 / 突然変異 / DNAトポイソメラーゼ / RNAi / 花序 |
Research Abstract |
フィボナッチ数列で表される、高等植物のらせん葉序および花序の分子的基盤は、多細胞生物の形作りについて、まだ解析の進んでいない問題のひとつである。本研究では、シロイヌナズナのT-DNA挿入形質転換植物の中から見つかった、葉や花の分枝パターンに異常を示す変異株について、形態学的な解析を行うと共に、原因遺伝子の同定を試みた。 この変異株は、高い頻度で葉序の乱れや二叉分岐、一つの節から二つ以上の花芽を分化するなどの表現型を示すのに加えて、葉の鋸歯化、花序や個々の花のねじれを引き起こす。花器官の数の異常も観察された。T-DNA挿入による劣性変異であることが遺伝解析からわかったので、昨年度に確立した熱ショックタギング法により、原因遺伝子を単離したところ、I型DNAトポイソメラーゼ遺伝子TOP1Aのコード領域にT-DNA挿入を見つけた。この遺伝子プロモーターに野生型TOP1A遺伝子に由来する全長cDNAをつないだT-DNAを変異株に導入した結果、変異表現型は完全に回復したことから、確かにTOP1A遺伝子の欠損が形態異常の原因であることを証明した。TOP1A遺伝子の発現は、野生型株の名器官に認められた。 さらに、この遺伝子は、染色体上で相同遺伝子TOP1Bとタンデムに並んで存在することから、TOP1BについてRNAiを利用した発現抑制を試みた。野生型株への導入では、形態的な異常は観察されなかったが、top1a変異株のバックグラウンドでは、発芽後致死になったことから、I型DNAトポイソメラーゼ遺伝子が植物の生育に必須であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)