2000 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物液胞膜H^+輸送性ピロフォスファターゼの発現制御機構の解明
Project/Area Number |
12740436
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 雅彦 京都大学, 総合人間学部, 助手 (20283575)
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Keywords | 液胞膜 / ゴルジ体 / GFP / ピロフォスファターゼ / プロモーター解析 / 雄性不稔 / 花粉特異的発現 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
(1)シロイヌナズナH^+-PPaseの発現調節機構の解明 シロイヌナズナゲノムよりインバースPCR法によりH^+-PPaseの上流非転写領域1.4kbを単離後、この全長1.4kbの配列と0.4kbの配列の二種類をpBI101のGUS遺伝子の上流に挿入し、それらを植物にアグロバクテリアを用いて形質転換し、二種類の形質転換シロイヌナズナを作製した。これらの形質転換シロイヌナズナを用いてGUS-reporter法でプロモーターの発現様式の解析をしたところ、全長1.4kbのコンストラクトではほぼ植物体全体で発現しているのに対し、0.4kbのコンストラクトでは花粉でのみ活性が観察された。また花粉特異的に遺伝子発現を誘導する0.4kbの領域の下流にH^+-PPase遺伝子をアンチセンス方向に結合したものを、植物体に発現させると花粉の成育が途中でい停止し、種子が出来ない雄性不稔の形質を示す植物体がある割合で現れた。このことからH^+-PPaseは花粉の発生段階で特異的に発現が調節され、H^+-PPaseの発現は花粉の発達に非常に重要な働きをしていることが示唆された。 (2)新型H^+-PPaseの細胞内局在の同定 近年シロイヌナズナゲノム解析により、従来の液胞型のH^+-PPase(AVP-1)のほかにAVP-1に30%程度の相同性を持ったH^+-PPase(AVP-2)が存在することがわかった。電気生理学的解析からこの酵素は、K^+イオンで活性がしないなどAVP-1とは違った性質を持っていることがわかった。液胞膜にはK^+イオンで活性化するH^+-PPase活性しか観察されないためAVP-2の局在は液胞以外であることが推定された。そこでAVP-2の局在を調べるため、AVP-2にGFPを結合した融合たんぱく質をシロイヌナズナ培養細胞に一過的に発現させ、その局在を調べたところ、ドット状のオルガネラに局在することがわかった。ブレフェルジンAを使った解析、各種オルガネラマーカーたんぱく質を使った解析からAVP-2/GFP融合たんぱく質はゴルジ体に局在することがわかった。 これらのことから、AVP-2はゴルジ体に局在するH^+-PPaseで、ゴルジ体内腔の酸性化に重要な働きをしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshimura SH,Ohniwa RL,Sato MH,Matsunaga F,Kobayashi G,Uga H,Wada C,Takeyasu K: ""DNA phase transition promoted by replication initiator.""Biochemistry. 452. 267-271 (1999)
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[Publications] Nobutaka Mitsuda,Kazuhiko Enami,Mami Nakata,Kunio Takeyasu,Masa H.Sato: ""Novel type Arabidpsis thaliana H^+-PPase is localized to the Golgi apparatus.""FEBS Lett.. 488. 29-33 (2001)
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[Publications] Nobutaka Mitsuda,Kunio Takeyasu,Masa H.Sato: ""Pollen-specific regulation of vacuolar H^+-PPase expression by multiple cis-acting elements.""Plant Molecular Biology. (in press). (2001)