2000 Fiscal Year Annual Research Report
Dnak遺伝子導入による植物の高温耐性および耐暑性の向上に関する研究
Project/Area Number |
12740444
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
日比野 隆 名城大学, 理工学部, 講師 (70218741)
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Keywords | シャぺロニン / DnaK / 耐塩性ラン藻 / Aphanothece halopytica / 遺伝子導入タバコ |
Research Abstract |
1)耐塩性ラン藻の熱ショックタンパクdnaK(hsp70)遺伝子を解析した。 (1)Aphanothece halophyticaからDNAを抽出し、DNAライブラリーを作った。これまでに単離されているdnak遺伝子の塩基配列の相同性の高い部分を参考にしてmixed oligomerを合成した。これをプローブとして、ライブラリーのスクリーニングを行ったところ、全長3kbのDNAフラグメントが単離された。この部分の塩基配列を決定したところ、dnak遺伝子の全長と、その上流にgrpE遺伝子を下流にdnaJ遺伝子の断片を含むことが明らかになった。 (2)DNAシーケンスの結果、Aphanothece halophyticaのdnak遺伝子は721個のアミノ酸からなる蛋白質をコードしており、他の生物のdnak遺伝子が約650個のアミノ酸からなる蛋白質をコードしているのと比較して大きいことが明らかになった。 (3)dnak遺伝子の転写は、熱ショックで誘導されるのみでなく、高塩濃度の条件で培養しても誘導された。 2)耐塩性ラン藻の熱ショックタンパクdnaK(hsp70)遺伝子を導入したタバコを作出した。 (1)Aphanothece halophyticaのdnaK1遺伝子をバイナリーベクターに組み込み、アグロバクテリウムを用いてタバコに導入し、カナマイシン耐性植物タバコを得た。 (2)dnak遺伝子がタバコで発現していることは、Aphanothece halophytica DnaK1蛋白質に対する抗体を用いて確認した。形質転換体では、抗体と特異的に反応する70kDaのバンドが検出されたが、野生株では全く検出されなかった。 3)耐塩性ラン藻の熱ショックタンパクdnaK(hsp70)遺伝子を導入したタバコを解析した。 (高温下における発芽率) dnak遺伝子を導入した形質転換体、および野生株タバコの発芽を、27℃で16時間光照射、25℃で8時間暗所のサイクルで発芽させると、形質転換体および野生株タバコの発芽率は同じであった。しかし、40℃で16時間光照射、25℃で8時間暗所のサイクルで発芽させると、コントロールタバコの発芽率は26.7%であったが、dnaK遺伝子導入タバコでは、81.7%が発芽した。
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